25.傷
夢主名前設定
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朝の稽古が終わり皆が部屋に戻って、座敷では食事の支度がされる頃。
まだ汗の残る沖田が夢主の元へやって来た。斎藤よりも早かった。
「夢主ちゃん、ちょっといいですか」
「ぁっ、はいっ」
突然の訪問に驚くが素直に応じた。
すっ……と控えめに開いた障子の間から沖田が顔を覗かせた。
「えへへっ、ちょっと来て下さい」
「はぃ……」
にこにこしながらも断る事を許さない迫力がある。
黙って後に続くと、沖田の部屋まで連れて行かれた。
「ちょっと待ってて下さい」
障子を開けたまま、沖田は自分の荷物をごそごそと探り始めた。
「あ、あった!!」
何やら取り出して高々と掲げ確認している。
嬉しそうな声は見つけた喜びか、大切な品だからか。
「ね、夢主ちゃんちょっと来て」
掲げた物を下ろして抱え、部屋の外で待つ夢主を呼んだ。
「これね、僕の昔の稽古着なんです。ちょっと着てみて下さいよ」
「え?!」
「たまに体を動かしたら、きっと気持ちいいですよ」
突然の申し出に夢主は戸惑った。
しかし沖田はにこりと微笑み、稽古着をぐいと手渡した。
「じゃぁ僕は外で待っていますから」
そのまま部屋から出て、パタリと障子を閉めてしまった。
優しい沖田だが言い出すと譲らない、押しの強い青年だ。
昔の物と言ってもいつ頃の物なのだろう。
今の夢主に合うくらいだから、そう小さい頃の物でもないだろう。
思わず臭いを嗅いでしまった。
「かび臭くない……沖田さんの……匂い?」
なんだか照れ臭い。
これを着て稽古した沖田の少年期を思いながら袖を通す。ちょうど良い大きさだ。
稽古着に身を包み、着ていた着物を手に外に出ると、庭を眺めていた沖田の振り向く顔は嬉しさに満ちていた。
「わぁ……ぴったりですね!良かった」
自分の服に包まれる夢主を見るのはとても不思議な気分だ。
嬉しい気分で上から下まで見回してしまう。
「着物、お部屋に置きに戻りますか?」
「あ、はぃ」
二人で斎藤の部屋へ行くと、斎藤は既に食事に出たのか姿が無かった。
「お食事遅れちゃいますけど大丈夫でしょうか……」
「大丈夫ですよ!一緒に食べて、一緒に片付けましょう!ははっ」
勝手元が片付かなくて申し訳ないのではと気に掛けるが、沖田は朗らかに笑んでいる。
着物を置くと、心配ないと言い張る沖田に連れられて道場へ向かった。
誰かに出会わないかドキドキするが、揃って座敷に入っているようで誰にも出会わず道場に辿り着いた。
慣れない稽古着姿を見られるのは気恥ずかしい。誰にも会わずにほっと息を吐いた。
まだ汗の残る沖田が夢主の元へやって来た。斎藤よりも早かった。
「夢主ちゃん、ちょっといいですか」
「ぁっ、はいっ」
突然の訪問に驚くが素直に応じた。
すっ……と控えめに開いた障子の間から沖田が顔を覗かせた。
「えへへっ、ちょっと来て下さい」
「はぃ……」
にこにこしながらも断る事を許さない迫力がある。
黙って後に続くと、沖田の部屋まで連れて行かれた。
「ちょっと待ってて下さい」
障子を開けたまま、沖田は自分の荷物をごそごそと探り始めた。
「あ、あった!!」
何やら取り出して高々と掲げ確認している。
嬉しそうな声は見つけた喜びか、大切な品だからか。
「ね、夢主ちゃんちょっと来て」
掲げた物を下ろして抱え、部屋の外で待つ夢主を呼んだ。
「これね、僕の昔の稽古着なんです。ちょっと着てみて下さいよ」
「え?!」
「たまに体を動かしたら、きっと気持ちいいですよ」
突然の申し出に夢主は戸惑った。
しかし沖田はにこりと微笑み、稽古着をぐいと手渡した。
「じゃぁ僕は外で待っていますから」
そのまま部屋から出て、パタリと障子を閉めてしまった。
優しい沖田だが言い出すと譲らない、押しの強い青年だ。
昔の物と言ってもいつ頃の物なのだろう。
今の夢主に合うくらいだから、そう小さい頃の物でもないだろう。
思わず臭いを嗅いでしまった。
「かび臭くない……沖田さんの……匂い?」
なんだか照れ臭い。
これを着て稽古した沖田の少年期を思いながら袖を通す。ちょうど良い大きさだ。
稽古着に身を包み、着ていた着物を手に外に出ると、庭を眺めていた沖田の振り向く顔は嬉しさに満ちていた。
「わぁ……ぴったりですね!良かった」
自分の服に包まれる夢主を見るのはとても不思議な気分だ。
嬉しい気分で上から下まで見回してしまう。
「着物、お部屋に置きに戻りますか?」
「あ、はぃ」
二人で斎藤の部屋へ行くと、斎藤は既に食事に出たのか姿が無かった。
「お食事遅れちゃいますけど大丈夫でしょうか……」
「大丈夫ですよ!一緒に食べて、一緒に片付けましょう!ははっ」
勝手元が片付かなくて申し訳ないのではと気に掛けるが、沖田は朗らかに笑んでいる。
着物を置くと、心配ないと言い張る沖田に連れられて道場へ向かった。
誰かに出会わないかドキドキするが、揃って座敷に入っているようで誰にも出会わず道場に辿り着いた。
慣れない稽古着姿を見られるのは気恥ずかしい。誰にも会わずにほっと息を吐いた。