24.冬の刺客
夢主名前設定
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「お前の話は実に面白いな」
「そうですか……」
何と返して良いか分からず困ってしまう。
斎藤にとって内容が興味深いか実現性が気になるのだろうが、素直にハイとは言い難い。
「いつも放ったらかしてばかりで悪いがな」
「最近いよいよ忙しくなってきましたからね!」
不逞浪士の摘発は更に厳しくなっていた。
斎藤や沖田ら幹部達は元々過ぎるほど忙しいと感じている。
これからより時間が無くなるのかと思うと、淋しい気持ちが湧いてくる。
「あっ、夢主ちゃん今、淋しい~って思いませんでした?顔がしゅーんってなりましたよ」
「ぇっ、そんなっ……」
照れて誤魔化すが二人は見透かして笑っている。
「だって……いぇ、お二人は隊務に励むべきなので、私の事はお気になさらず……私も少しずつお手伝いのお仕事増やしてもらってるんです」
針仕事に加え、掃き掃除や皿洗い。動いていると日々が楽しい。
嬉しそうに言う姿に斎藤の目が細くなる。それで淋しさが紛れるなら好い事だ。
「そうか、良かったな」
「それじゃぁ僕は一番隊の訓練が残ってるのでこの辺で」
話が落ち着いた所で沖田が姿勢を崩した。
そろそろ稽古の頃合い。一日はまだ終わっていない。
「沖田さん熱心なんですね」
「いやぁ頼りない隊士が幾人かっ、ははっお恥ずかしい。じゃあまたね、夢主ちゃん」
頭に手を置いてぽりぽりと、気まずそうに部下の話を残して、沖田は部屋から出て行った。
「斎藤さんは……いいんですか」
「あぁ?なんだ俺にいて欲しくないのか」
思わず訊いてしまった。
斎藤が瞬時に眉間に皺を作る。
「ち、違いますっ、ただ沖田さんが行かれたので……」
戸惑う夢主に、斎藤が小さく噴出して笑った。
「フっ、冗談だ、お前は本当に良くひっかかるな、くくっ」
「あぁっ斎藤さん!またぁ……」
斎藤はフンと鼻をならし、怒った顔を見せる夢主の頭に手を置いた。
「本当に淋しい時は甘えて来いよ。お前そういう所は全く苦手だからな」
今度は夢主が眉間に皺を寄せた。
「だ、だって……それは……失礼かと……それに」
下を向くと声も小さくなる。
確かに心細く淋しい時もあるが、居候の自分が新選組幹部の斎藤にどんな顔をして甘えれば良いのか。
甘えたい気持ちもあるが、嫌われたくないから甘えられないというのが本音。
「……どうやって甘えたらいいんですか、怒られるんじゃないかと……正直怖いです……」
「阿呆だな。そんな時は黙って男の背中に顔でも寄せろ」
「ぇえっ……」
夢主は頬を染めて驚いた。そんな可愛らしい甘え方、恥ずかしくて出来ない。
自分から誰かに、それも男の人の背中に甘えるなんて考えられない。甘えるのは簡単なようで難しい。
「ま、無理はするなよ」
そう言うと斎藤も立ち上がった。
「はぃ……お気遣いありがとうございます……」
斎藤は満足そうに頷き、黙って部屋を出て行った。
本当に稽古に出向いたようだ。
「斎藤さんに……甘える……」
斎藤の背にそっと顔を寄せる自分を思い浮かべ、夢主は顔を火照らせた。
「そうですか……」
何と返して良いか分からず困ってしまう。
斎藤にとって内容が興味深いか実現性が気になるのだろうが、素直にハイとは言い難い。
「いつも放ったらかしてばかりで悪いがな」
「最近いよいよ忙しくなってきましたからね!」
不逞浪士の摘発は更に厳しくなっていた。
斎藤や沖田ら幹部達は元々過ぎるほど忙しいと感じている。
これからより時間が無くなるのかと思うと、淋しい気持ちが湧いてくる。
「あっ、夢主ちゃん今、淋しい~って思いませんでした?顔がしゅーんってなりましたよ」
「ぇっ、そんなっ……」
照れて誤魔化すが二人は見透かして笑っている。
「だって……いぇ、お二人は隊務に励むべきなので、私の事はお気になさらず……私も少しずつお手伝いのお仕事増やしてもらってるんです」
針仕事に加え、掃き掃除や皿洗い。動いていると日々が楽しい。
嬉しそうに言う姿に斎藤の目が細くなる。それで淋しさが紛れるなら好い事だ。
「そうか、良かったな」
「それじゃぁ僕は一番隊の訓練が残ってるのでこの辺で」
話が落ち着いた所で沖田が姿勢を崩した。
そろそろ稽古の頃合い。一日はまだ終わっていない。
「沖田さん熱心なんですね」
「いやぁ頼りない隊士が幾人かっ、ははっお恥ずかしい。じゃあまたね、夢主ちゃん」
頭に手を置いてぽりぽりと、気まずそうに部下の話を残して、沖田は部屋から出て行った。
「斎藤さんは……いいんですか」
「あぁ?なんだ俺にいて欲しくないのか」
思わず訊いてしまった。
斎藤が瞬時に眉間に皺を作る。
「ち、違いますっ、ただ沖田さんが行かれたので……」
戸惑う夢主に、斎藤が小さく噴出して笑った。
「フっ、冗談だ、お前は本当に良くひっかかるな、くくっ」
「あぁっ斎藤さん!またぁ……」
斎藤はフンと鼻をならし、怒った顔を見せる夢主の頭に手を置いた。
「本当に淋しい時は甘えて来いよ。お前そういう所は全く苦手だからな」
今度は夢主が眉間に皺を寄せた。
「だ、だって……それは……失礼かと……それに」
下を向くと声も小さくなる。
確かに心細く淋しい時もあるが、居候の自分が新選組幹部の斎藤にどんな顔をして甘えれば良いのか。
甘えたい気持ちもあるが、嫌われたくないから甘えられないというのが本音。
「……どうやって甘えたらいいんですか、怒られるんじゃないかと……正直怖いです……」
「阿呆だな。そんな時は黙って男の背中に顔でも寄せろ」
「ぇえっ……」
夢主は頬を染めて驚いた。そんな可愛らしい甘え方、恥ずかしくて出来ない。
自分から誰かに、それも男の人の背中に甘えるなんて考えられない。甘えるのは簡単なようで難しい。
「ま、無理はするなよ」
そう言うと斎藤も立ち上がった。
「はぃ……お気遣いありがとうございます……」
斎藤は満足そうに頷き、黙って部屋を出て行った。
本当に稽古に出向いたようだ。
「斎藤さんに……甘える……」
斎藤の背にそっと顔を寄せる自分を思い浮かべ、夢主は顔を火照らせた。