24.冬の刺客
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朝ご飯の時、沖田からも同じような謝罪があった。
夢主はこちらこそと頭を下げ、探し回ってくれた礼を述べた。
原田はそんな三人を座敷の反対側から楽しそうに見て笑っている。
目が合うと力こぶを作って見せた。いざとなったら頼って来い!の合図だ。
夢主は「ありがたく……」と笑顔で会釈した。
この日、夢主は一つの手伝いを許された。
皿洗いだ。
夢主は勝手元で包丁を握る事を禁止されている。
気の迷いを恐れての土方の指令だ。刃物をこちらに向ければ斬らねばならず、自らに向けるような過ちは犯して欲しくない。
随分前に決められた約束事だったが、それは守られ今も続いていた。
その為、ひとりで自由に勝手元に出入りする事も許されなかった。勝手元で動く家の者と共に作業をするか、幹部の誰かに許可を取って立ち入るか。
煩わしいが決め事は守られていた。
それが井戸で洗った皿を戻す為、誰の許可も得ず一人で勝手元へ入れるようになった。
仕事が増えた夢主はご機嫌だった。
「ふふっ楽しいなぁ、ずっと籠もってるより色々お手伝いできたほうが楽しいよね。お料理も暫くしてないから包丁の使い方忘れちゃいそう……」
盥に皿を入れて井戸へ運んだ。
幹部の分だけだが、それでもかなりの量がある。
普段は数人で済ませることが多い。今日は一人でこつこつ進めようと心に決めた。
盥二つに分けて運んだ皿をごしごしと洗い始める。
「わぁ……お水冷たい……さすがに……もう冬だね」
水に触れるたびに、冷たさで指先がツンと痛む。
「今までお家のみなさんがして下さってたんだもん……頑張ろう……」
朝飯の後、自主的に道場や中庭で鍛錬に励む者がいる。
井戸の傍でそんな姿が見られるのも嬉しかった。
中には夢主の姿を目に収めたくてやって来る者もいた。
「夢主ちゃん、精が出ますね」
聞きなれた優しい声は沖田だった。
木刀を後ろ手に、覗き込むように話し掛けてきた。
「沖田さん、お稽古ですか」
皆の鍛錬姿がとても好きな夢主には素直に嬉しい。
しっかり稽古を見た覚えは数えるほども無い。仕事をしながら鍛錬の様子が見られるだけで心が弾む。
「はい。ちょっとお邪魔してもいいかな」
そう言って微笑んで、沖田は「どうかな?」と首を傾げた。
「も、もちろんです。私こそお邪魔かもしれませんが……気にしないで下さいね」
夢主は、ちゃぷ……と皿を水に戻して応えた。
夢主はこちらこそと頭を下げ、探し回ってくれた礼を述べた。
原田はそんな三人を座敷の反対側から楽しそうに見て笑っている。
目が合うと力こぶを作って見せた。いざとなったら頼って来い!の合図だ。
夢主は「ありがたく……」と笑顔で会釈した。
この日、夢主は一つの手伝いを許された。
皿洗いだ。
夢主は勝手元で包丁を握る事を禁止されている。
気の迷いを恐れての土方の指令だ。刃物をこちらに向ければ斬らねばならず、自らに向けるような過ちは犯して欲しくない。
随分前に決められた約束事だったが、それは守られ今も続いていた。
その為、ひとりで自由に勝手元に出入りする事も許されなかった。勝手元で動く家の者と共に作業をするか、幹部の誰かに許可を取って立ち入るか。
煩わしいが決め事は守られていた。
それが井戸で洗った皿を戻す為、誰の許可も得ず一人で勝手元へ入れるようになった。
仕事が増えた夢主はご機嫌だった。
「ふふっ楽しいなぁ、ずっと籠もってるより色々お手伝いできたほうが楽しいよね。お料理も暫くしてないから包丁の使い方忘れちゃいそう……」
盥に皿を入れて井戸へ運んだ。
幹部の分だけだが、それでもかなりの量がある。
普段は数人で済ませることが多い。今日は一人でこつこつ進めようと心に決めた。
盥二つに分けて運んだ皿をごしごしと洗い始める。
「わぁ……お水冷たい……さすがに……もう冬だね」
水に触れるたびに、冷たさで指先がツンと痛む。
「今までお家のみなさんがして下さってたんだもん……頑張ろう……」
朝飯の後、自主的に道場や中庭で鍛錬に励む者がいる。
井戸の傍でそんな姿が見られるのも嬉しかった。
中には夢主の姿を目に収めたくてやって来る者もいた。
「夢主ちゃん、精が出ますね」
聞きなれた優しい声は沖田だった。
木刀を後ろ手に、覗き込むように話し掛けてきた。
「沖田さん、お稽古ですか」
皆の鍛錬姿がとても好きな夢主には素直に嬉しい。
しっかり稽古を見た覚えは数えるほども無い。仕事をしながら鍛錬の様子が見られるだけで心が弾む。
「はい。ちょっとお邪魔してもいいかな」
そう言って微笑んで、沖田は「どうかな?」と首を傾げた。
「も、もちろんです。私こそお邪魔かもしれませんが……気にしないで下さいね」
夢主は、ちゃぷ……と皿を水に戻して応えた。