23.教えてお兄さん
夢主名前設定
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こうなれば放っておいても眠る。
だが夢主の余りにも悲しそうな姿に斎藤は動いた。
「原田さんの酒、失敬します」
そう言い、強い酒を盃に注いで「ほらっ」と夢主の口に流し込んだ。
「ぁ……」
夢主は悲しげな目で斎藤を見ながら呑み下し、ゆっくり目を閉じた。
部屋は一気に静まり返る。
「やれやれ……お前らも大変だな。しかし軽率だったな、本当にすまなかった」
原田は改め二人に謝罪した。
「しかし、こうやって寝かしちまうのも可哀想だぜ……」
強い酒で強引に眠らされた夢主の頬には涙の痕が残っていた。
斎藤も沖田も承知であると後ろめたい顔をしている。
「夢主はお前らの事が大好きなんだろうよ。何があったか知らねぇが、夢主を淋しがらせるなよ。……兄ちゃんが承知しねぇぞ!」
原田が悪戯に笑って見せると、二人は苦笑して頷いた。
斎藤が夢主を抱え上げた時、原田は淋しそうな寝顔を覗いて目尻を下げた。
淋しそうだが安心しきっているようにも感じられる。
「俺じゃなくてお前にしがみ付きたかったみたいだぜ、斎藤」
斎藤が驚いて目を見開くと、原田はにっと笑って目配せをした。
先に外に出た沖田には何も届いていない。両手が塞がる斎藤が原田に目礼して部屋を出た後、何事も無かったようにそっと障子を閉めた。
「はぁ~……やれやれですね……何というか。夢主ちゃんに悪い事しちゃいました。……斎藤さん、すみません。僕も悪かったです」
「いや、お互い様だな。悪かった。今夜の事もこいつは果たして覚えているのか」
夢主を抱えた斎藤と沖田、三人は風の当たる寒い廊下を静かに歩いた。
時折り床板が鳴る音さえ冷たく響く。
「では斎藤さん、後はよろしくお願いします」
「あぁ」
沖田は後ろ髪を引かれるが、静かに自分の部屋へ戻って行った。
斎藤も自らの部屋に戻り、先に広げておいた布団に慣れた手つきで夢主を降ろした。
座るような形で降ろしてやった斎藤、まだ手を背中に添えている。
まだ眠っているのか……
斎藤はこくっと傾く寝顔を確認し、反対の手も背中に回して徐に抱きしめた。
腕の中、小さな体をしっかり包んでいた。
「これで満足か……」
返事が聞こえるはずもなく、夢主はすぅすぅと気持ち良さそうな寝息を立てている。
そっと背を倒して寝かしてやり、布団を掛けて自らの選んだ丹前を掛けてやった。
寝顔を見つめ目に付いた頬の涙痕を拭い、手を離すと寂しそうだった顔はすっかり安らかなものに変わっていた。
夢主の髪を軽く撫で、いつも面と向かっては言わない言葉を掛けた。
「夢主……おやすみだ」
だが夢主の余りにも悲しそうな姿に斎藤は動いた。
「原田さんの酒、失敬します」
そう言い、強い酒を盃に注いで「ほらっ」と夢主の口に流し込んだ。
「ぁ……」
夢主は悲しげな目で斎藤を見ながら呑み下し、ゆっくり目を閉じた。
部屋は一気に静まり返る。
「やれやれ……お前らも大変だな。しかし軽率だったな、本当にすまなかった」
原田は改め二人に謝罪した。
「しかし、こうやって寝かしちまうのも可哀想だぜ……」
強い酒で強引に眠らされた夢主の頬には涙の痕が残っていた。
斎藤も沖田も承知であると後ろめたい顔をしている。
「夢主はお前らの事が大好きなんだろうよ。何があったか知らねぇが、夢主を淋しがらせるなよ。……兄ちゃんが承知しねぇぞ!」
原田が悪戯に笑って見せると、二人は苦笑して頷いた。
斎藤が夢主を抱え上げた時、原田は淋しそうな寝顔を覗いて目尻を下げた。
淋しそうだが安心しきっているようにも感じられる。
「俺じゃなくてお前にしがみ付きたかったみたいだぜ、斎藤」
斎藤が驚いて目を見開くと、原田はにっと笑って目配せをした。
先に外に出た沖田には何も届いていない。両手が塞がる斎藤が原田に目礼して部屋を出た後、何事も無かったようにそっと障子を閉めた。
「はぁ~……やれやれですね……何というか。夢主ちゃんに悪い事しちゃいました。……斎藤さん、すみません。僕も悪かったです」
「いや、お互い様だな。悪かった。今夜の事もこいつは果たして覚えているのか」
夢主を抱えた斎藤と沖田、三人は風の当たる寒い廊下を静かに歩いた。
時折り床板が鳴る音さえ冷たく響く。
「では斎藤さん、後はよろしくお願いします」
「あぁ」
沖田は後ろ髪を引かれるが、静かに自分の部屋へ戻って行った。
斎藤も自らの部屋に戻り、先に広げておいた布団に慣れた手つきで夢主を降ろした。
座るような形で降ろしてやった斎藤、まだ手を背中に添えている。
まだ眠っているのか……
斎藤はこくっと傾く寝顔を確認し、反対の手も背中に回して徐に抱きしめた。
腕の中、小さな体をしっかり包んでいた。
「これで満足か……」
返事が聞こえるはずもなく、夢主はすぅすぅと気持ち良さそうな寝息を立てている。
そっと背を倒して寝かしてやり、布団を掛けて自らの選んだ丹前を掛けてやった。
寝顔を見つめ目に付いた頬の涙痕を拭い、手を離すと寂しそうだった顔はすっかり安らかなものに変わっていた。
夢主の髪を軽く撫で、いつも面と向かっては言わない言葉を掛けた。
「夢主……おやすみだ」