21.月見水
夢主名前設定
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「えいっ」
夢主はいきなり酒の徳利を持ち上げ、斎藤が持つ猪口に酒を注ぎ足した。
「ほら、だんなさまぁ~お酒が減ってますよぉ」
わざとらしく言いながら、並々と注いでいく。
「おいっ」
斎藤の指を伝って一筋二筋と酒が溢れ出した。
夢主のささやかな反抗だ。
にわかに慌てる斎藤を余所に、夢主は止めなかった。
「阿呆、酒が溢れる」
「わざとですっ、ふふっ、ほらほら・・・」
「ちっ」
斎藤は夢主の徳利から距離を取ると、猪口に口を付けて啜った。指に垂れた酒を下唇と舌を使って拭き取るように舐め上げ、ちらと瞳を動かす。
見ていた夢主と斎藤の目が合った。
突然の艶めかしい仕草を夢主は目を丸くして凝視してしまった。
「どうした」
含み笑いの斎藤、わざとそんな仕草をしたのだ。
悪戯されてそのまま済ましてはくれないようだ。
「悪さをするなら仕返しされる覚悟をしておくんだな」
鼻で笑いながら言われ、夢主はぷぅと頬を膨らませた。
だが次に斎藤は真面目な顔で唐突に忠告した。
「お前、他の連中と晩酌はするなよ」
「へ・・・」
「すぐに酔って寝ちまうし、晩酌すれば距離が近くなる。力で勝てまい。お前逃げられるか」
真面目な眼差しで問う斎藤に、夢主は静かに首を振った。
「俺達幹部連中だってみんな男だ。たまには気がおかしくなっちまう事もあるさ」
斎藤さんも・・・思わず夢主は目の前の凛々しい顔を見上げた。
気付いたのか、咳払いをして斎藤は続けた。
「まぁ、俺はそんな浅はかじゃぁないぜ。安心しろ。どうしても怖くなったら遠慮せず叫べ、逃げろ」
「はぃ・・・」
思わぬ助言に、応える声が小さくなる。
斎藤さんを怖く思う・・・そんな時が来るのだろうかと。
「沖田さんは・・・」
沖田は同じ部屋で一夜を過ごしたが何も起きなかった。
夢主が安心して気を許す一人だ。
「沖田君か。彼は意志が強いから大丈夫だと思うがな、奴も男だ。お前がそれでもいいと思うなら、晩酌してやるといい」
そんな事を言われてはと、下を向いてしまった。
夢主はいきなり酒の徳利を持ち上げ、斎藤が持つ猪口に酒を注ぎ足した。
「ほら、だんなさまぁ~お酒が減ってますよぉ」
わざとらしく言いながら、並々と注いでいく。
「おいっ」
斎藤の指を伝って一筋二筋と酒が溢れ出した。
夢主のささやかな反抗だ。
にわかに慌てる斎藤を余所に、夢主は止めなかった。
「阿呆、酒が溢れる」
「わざとですっ、ふふっ、ほらほら・・・」
「ちっ」
斎藤は夢主の徳利から距離を取ると、猪口に口を付けて啜った。指に垂れた酒を下唇と舌を使って拭き取るように舐め上げ、ちらと瞳を動かす。
見ていた夢主と斎藤の目が合った。
突然の艶めかしい仕草を夢主は目を丸くして凝視してしまった。
「どうした」
含み笑いの斎藤、わざとそんな仕草をしたのだ。
悪戯されてそのまま済ましてはくれないようだ。
「悪さをするなら仕返しされる覚悟をしておくんだな」
鼻で笑いながら言われ、夢主はぷぅと頬を膨らませた。
だが次に斎藤は真面目な顔で唐突に忠告した。
「お前、他の連中と晩酌はするなよ」
「へ・・・」
「すぐに酔って寝ちまうし、晩酌すれば距離が近くなる。力で勝てまい。お前逃げられるか」
真面目な眼差しで問う斎藤に、夢主は静かに首を振った。
「俺達幹部連中だってみんな男だ。たまには気がおかしくなっちまう事もあるさ」
斎藤さんも・・・思わず夢主は目の前の凛々しい顔を見上げた。
気付いたのか、咳払いをして斎藤は続けた。
「まぁ、俺はそんな浅はかじゃぁないぜ。安心しろ。どうしても怖くなったら遠慮せず叫べ、逃げろ」
「はぃ・・・」
思わぬ助言に、応える声が小さくなる。
斎藤さんを怖く思う・・・そんな時が来るのだろうかと。
「沖田さんは・・・」
沖田は同じ部屋で一夜を過ごしたが何も起きなかった。
夢主が安心して気を許す一人だ。
「沖田君か。彼は意志が強いから大丈夫だと思うがな、奴も男だ。お前がそれでもいいと思うなら、晩酌してやるといい」
そんな事を言われてはと、下を向いてしまった。