21.月見水
夢主名前設定
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間もなくして斎藤が戻ると、夢主は藍色の半纏を羽織っていた。斎藤が選んだ一枚だ。
半纏に散りばめられた桜を眺め微笑んでいると足音が聞こえ、袖を通した。
障子が静かに開き、縁側に見えた盆には二本の徳利と二つの猪口が乗っていた。
「来い」
月明かり越しに短く呼ばれ、心ならずも心音が激しくなっていく。
「はぃ・・・あの、斎藤さんは寒くないのですか・・・」
「あぁ」
外に出て二人並んで腰掛ける。二人で月見をするのだから当然のこと。
手を伸ばせばすぐ届く距離にいる。それだけで、夢主の胸の高鳴りはおさまらなかった。
月明かりに導かれるよう斎藤の瞳を見てしまう。
久しぶりに見る黄金色の瞳。思わず息を呑んで見惚れてしまった。
・・・こがね・・・いろ・・・
それに気付いた斎藤だが、ふっと笑んで自ら目を逸らした。
「綺麗な月だな」
「ぁ、はぃっ・・・」
斎藤は月を目に映してから酒に手を伸ばした。
「ほら、お前にもあるぞ」
渡された猪口は既に並々と満たされている。
両手でそっと持ち、溢れそうな表面を見つめた。
「ありがとうございます。でも・・・いっぱい歩いたし、すぐまた寝ちゃうかもです・・・」
斎藤は意味ありげに口元だけで笑っている。
「寝ちゃったら・・・その・・・」
「運んでやるさ」
今更気にするなといった口ぶりだ。
斎藤も満更嫌ではないのだろう。
「じゃぁ・・・お言葉に甘えて・・・」
斎藤は頷くと自分の酒を一気に流し込んだ。
猪口を見て躊躇っている夢主を促すように、己の空の猪口を見せた。
「美味い。お前も飲んでみろ」
「はぃ。・・・ぁっ」
猪口を顔に近付けて何かに気付いた。
口に流し込むと、ひやりと冷たい滑らかな・・・水だった。
斎藤を見ると、したり顔で顔を緩めている。
「お水っ」
「フッ、見た目は変わらんだろう。これで暫く月を楽しめるぞ」
「ぁ・・・ありがとうございます」
二つ並んだ徳利には、其々に酒と水が入っていたのだ。
斎藤の思わぬ心遣い。夢主は猪口を見つめながら、酒も入っていないのに頬を染めた。
半纏に散りばめられた桜を眺め微笑んでいると足音が聞こえ、袖を通した。
障子が静かに開き、縁側に見えた盆には二本の徳利と二つの猪口が乗っていた。
「来い」
月明かり越しに短く呼ばれ、心ならずも心音が激しくなっていく。
「はぃ・・・あの、斎藤さんは寒くないのですか・・・」
「あぁ」
外に出て二人並んで腰掛ける。二人で月見をするのだから当然のこと。
手を伸ばせばすぐ届く距離にいる。それだけで、夢主の胸の高鳴りはおさまらなかった。
月明かりに導かれるよう斎藤の瞳を見てしまう。
久しぶりに見る黄金色の瞳。思わず息を呑んで見惚れてしまった。
・・・こがね・・・いろ・・・
それに気付いた斎藤だが、ふっと笑んで自ら目を逸らした。
「綺麗な月だな」
「ぁ、はぃっ・・・」
斎藤は月を目に映してから酒に手を伸ばした。
「ほら、お前にもあるぞ」
渡された猪口は既に並々と満たされている。
両手でそっと持ち、溢れそうな表面を見つめた。
「ありがとうございます。でも・・・いっぱい歩いたし、すぐまた寝ちゃうかもです・・・」
斎藤は意味ありげに口元だけで笑っている。
「寝ちゃったら・・・その・・・」
「運んでやるさ」
今更気にするなといった口ぶりだ。
斎藤も満更嫌ではないのだろう。
「じゃぁ・・・お言葉に甘えて・・・」
斎藤は頷くと自分の酒を一気に流し込んだ。
猪口を見て躊躇っている夢主を促すように、己の空の猪口を見せた。
「美味い。お前も飲んでみろ」
「はぃ。・・・ぁっ」
猪口を顔に近付けて何かに気付いた。
口に流し込むと、ひやりと冷たい滑らかな・・・水だった。
斎藤を見ると、したり顔で顔を緩めている。
「お水っ」
「フッ、見た目は変わらんだろう。これで暫く月を楽しめるぞ」
「ぁ・・・ありがとうございます」
二つ並んだ徳利には、其々に酒と水が入っていたのだ。
斎藤の思わぬ心遣い。夢主は猪口を見つめながら、酒も入っていないのに頬を染めた。