20.銀の星、金の月
夢主名前設定
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京の町でそれなりに有名な料亭・葵屋。
賑やかな町屋通りの突き当たりにその看板は現れた。
「あ、あった……葵屋だ……」
看板を見つけるなり道の脇に寄り、こそこそと物陰に隠れる夢主は不審者そのものだ。
夢主の態度を斎藤は訝しんだ。
腕組みをして立ったまま、隠れる素振りはない。
「おい、何をしている」
「いぇっ、場所さえ分かれば良かったもので……ぇへへ……」
言いながら斎藤を見ると、隠し事をしているのが見抜かれているのは明らかで、少し怖い顔で見下ろされていた。
「ぁ、後でお話ししますから……」
今は勘弁してくださいと、隠れようとしない二人の背中を押して向きを変えた。
目的を達した今、一刻も早くこの場を離れたい。
「ふむ……新選組の幹部が二人も揃って、可愛い娘さんを連れて料亭見物とは、ふぉっふぉっふぉ。さて、何か嗅ぎ付けおったかの」
料亭の入り口から立派な白い鬚を蓄えた一人の翁が去り行く三人の背を見送っていた。
二人を急かして道を戻り、料亭からすっかり離れた辺りで立ち止まった。
男二人を押しての急ぎ足、途中から夢主の意を汲んでくれたとは言え、慣れない足取りで夢主の息が上がっていた。
「夢主ちゃん、どうしたんですか」
「ぇへへ……ちょっと、大丈夫です敵じゃありません。また、その、休息所で……でも」
そういう事かと二人も納得したようだ。
ただの料亭で無いが危険も無いのならば今はそれで充分だった。
「さぁ日が暮れる前に、そろそろ帰りましょうか」
まだ早いがこの町では暗くなる前に戻ったほうが良い。
天誅と称した人斬りが横行しているのは夜が更けてから。
「そうですね……色々連れて行ってくださって、ありがとうございます」
「また土方さんに頼んでやるさ」
「はいっ……あの、最後に……」
「どうした」
何か言いたそうにもじもじしている。
「みんなで……湯屋に寄りませんか……って、ぁの、もちろん別湯ですよっ!時間があれば……」
確かに一日中歩いて埃っぽい。
別湯と慌てて言う夢主を二人は小さく笑った。
「フッ、いいだろう。手拭いなどは湯屋で借りるか」
「じゃぁいつもの場所に行きましょう」
「行くぞ」
斎藤に続いて歩き出すと決まり事のように沖田は隣を歩き、前と横から、二人で夢主を守るよう歩き出した。
こうして、最初は言い訳にするつもりだった湯屋の嘘が本当になった。
賑やかな町屋通りの突き当たりにその看板は現れた。
「あ、あった……葵屋だ……」
看板を見つけるなり道の脇に寄り、こそこそと物陰に隠れる夢主は不審者そのものだ。
夢主の態度を斎藤は訝しんだ。
腕組みをして立ったまま、隠れる素振りはない。
「おい、何をしている」
「いぇっ、場所さえ分かれば良かったもので……ぇへへ……」
言いながら斎藤を見ると、隠し事をしているのが見抜かれているのは明らかで、少し怖い顔で見下ろされていた。
「ぁ、後でお話ししますから……」
今は勘弁してくださいと、隠れようとしない二人の背中を押して向きを変えた。
目的を達した今、一刻も早くこの場を離れたい。
「ふむ……新選組の幹部が二人も揃って、可愛い娘さんを連れて料亭見物とは、ふぉっふぉっふぉ。さて、何か嗅ぎ付けおったかの」
料亭の入り口から立派な白い鬚を蓄えた一人の翁が去り行く三人の背を見送っていた。
二人を急かして道を戻り、料亭からすっかり離れた辺りで立ち止まった。
男二人を押しての急ぎ足、途中から夢主の意を汲んでくれたとは言え、慣れない足取りで夢主の息が上がっていた。
「夢主ちゃん、どうしたんですか」
「ぇへへ……ちょっと、大丈夫です敵じゃありません。また、その、休息所で……でも」
そういう事かと二人も納得したようだ。
ただの料亭で無いが危険も無いのならば今はそれで充分だった。
「さぁ日が暮れる前に、そろそろ帰りましょうか」
まだ早いがこの町では暗くなる前に戻ったほうが良い。
天誅と称した人斬りが横行しているのは夜が更けてから。
「そうですね……色々連れて行ってくださって、ありがとうございます」
「また土方さんに頼んでやるさ」
「はいっ……あの、最後に……」
「どうした」
何か言いたそうにもじもじしている。
「みんなで……湯屋に寄りませんか……って、ぁの、もちろん別湯ですよっ!時間があれば……」
確かに一日中歩いて埃っぽい。
別湯と慌てて言う夢主を二人は小さく笑った。
「フッ、いいだろう。手拭いなどは湯屋で借りるか」
「じゃぁいつもの場所に行きましょう」
「行くぞ」
斎藤に続いて歩き出すと決まり事のように沖田は隣を歩き、前と横から、二人で夢主を守るよう歩き出した。
こうして、最初は言い訳にするつもりだった湯屋の嘘が本当になった。