17.秋
夢主名前設定
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早速袖を通そうとするが、斎藤はまだ用事があるのか「すぐ戻る」と言い残し部屋を出て行った。
「斎藤さんに見て欲しかったのに……」
でも忙しい人だから仕方がない。
夢主は藍色の半纏に袖を通した。
厚みのある身頃は羽織るだけでとても暖かい。斎藤からの贈り物と言うだけでその暖かさが増して感じられた。
やがて日が暮れて始め、そろそろ夕食の時。
座敷に向かおう立ち上がった時、ちょうど斎藤が戻ってきた。
部屋に入るなり半纏を纏う夢主の後姿が斎藤の目に留まる。後ろ姿だがハッと息を呑んだ。
大きな半纏に包まれる小さな体は何かに抱かれているようで、それを選んだ己の腕がむず痒い。
息を呑んだなど悟られてなるものか、無意識の抵抗で知らずのうちに消していた気配を元に戻した。
夢主は食事前に戻ってくれた事が嬉しくて、振り返る顔は自然と微笑んでいた。
「一緒に……行きませんか」
斎藤の見繕った半纏は、思った以上に夢主に似合っていた。
深い色が白い肌を際立たせる。
小柄な体に似合う桜の模様と花びらの散り具合い……生地の絵柄通り、夜の闇に花が咲いているようだ。
「……あぁ……」
珍しく呆けたように斎藤が答えた。
廊下に出ると足早な斎藤の後ろを夢主が小走りでついて行く。
妙な感覚を振り払う為の速い歩みだなどとは、当人も夢主も知りはしない。
座敷へ入る前に伝えたい事がある夢主は遠慮がちに斎藤を呼び止めた。
「……斎藤さん」
「どうした」
心なしか返事の声が柔らかい。
「我が儘かもしれませんが……お膳、斎藤さんの横がいいです……やっぱり駄目でしょうか……」
夢主は小さな体で大きな斎藤を見上げた。自然と上目遣いになってしまうのは、どうしようもない。
原田の横も楽しいが、いつもの人が隣に居ないと淋しい……そんな事をずっと言い出せずにいた。
斎藤は理由を聞くまでも無かった。
「……いいだろう。特に決まりは無いんだ、座ってしまえばいいさ」
斎藤が座敷に着くのはいつも早い方。好きな場所に座ろうと思えば、いつでも出来た。
この時もやはり斎藤と夢主が一番乗りだった。
斎藤はいつもの場所に座る。
自ずと夢主は斎藤の下側に座った。意図していないが沖田、斎藤、夢主の並びになる。
そこへ、がやがやと数人の幹部がやって来た。
「おぉーー夢主、それ可愛いな!!」
「って言うか、そこに座んのか?!」
夢主は質問が重なり、少し困った顔で頷いた。
座り直したのも、似合うと褒められたことも認めるのが照れ臭い。
「まぁいいけどよ」
「だな」
「わーー!!夢主ちゃん!どうしてそこに?!いえ、嬉しいですけど、どうせなら僕の横に来てくださいよ!!」
皆がすんなりと受け入れる中、沖田が叫びながらやって来た。
素早く傍まで来ると斎藤を威嚇するように見上げて膨れる。
「ちょっと斎藤さん!黙ってないで一つずれて下さい!!」
「一度座ったものは仕方あるまい」
「えーー!!斎藤さんずるいです!男らしくありません!!」
「後から文句を言う君の方が男らしくないと思うがね」
思わぬ二人のやりとり。夢主は慌てふためいて間に入った。
「斎藤さんに見て欲しかったのに……」
でも忙しい人だから仕方がない。
夢主は藍色の半纏に袖を通した。
厚みのある身頃は羽織るだけでとても暖かい。斎藤からの贈り物と言うだけでその暖かさが増して感じられた。
やがて日が暮れて始め、そろそろ夕食の時。
座敷に向かおう立ち上がった時、ちょうど斎藤が戻ってきた。
部屋に入るなり半纏を纏う夢主の後姿が斎藤の目に留まる。後ろ姿だがハッと息を呑んだ。
大きな半纏に包まれる小さな体は何かに抱かれているようで、それを選んだ己の腕がむず痒い。
息を呑んだなど悟られてなるものか、無意識の抵抗で知らずのうちに消していた気配を元に戻した。
夢主は食事前に戻ってくれた事が嬉しくて、振り返る顔は自然と微笑んでいた。
「一緒に……行きませんか」
斎藤の見繕った半纏は、思った以上に夢主に似合っていた。
深い色が白い肌を際立たせる。
小柄な体に似合う桜の模様と花びらの散り具合い……生地の絵柄通り、夜の闇に花が咲いているようだ。
「……あぁ……」
珍しく呆けたように斎藤が答えた。
廊下に出ると足早な斎藤の後ろを夢主が小走りでついて行く。
妙な感覚を振り払う為の速い歩みだなどとは、当人も夢主も知りはしない。
座敷へ入る前に伝えたい事がある夢主は遠慮がちに斎藤を呼び止めた。
「……斎藤さん」
「どうした」
心なしか返事の声が柔らかい。
「我が儘かもしれませんが……お膳、斎藤さんの横がいいです……やっぱり駄目でしょうか……」
夢主は小さな体で大きな斎藤を見上げた。自然と上目遣いになってしまうのは、どうしようもない。
原田の横も楽しいが、いつもの人が隣に居ないと淋しい……そんな事をずっと言い出せずにいた。
斎藤は理由を聞くまでも無かった。
「……いいだろう。特に決まりは無いんだ、座ってしまえばいいさ」
斎藤が座敷に着くのはいつも早い方。好きな場所に座ろうと思えば、いつでも出来た。
この時もやはり斎藤と夢主が一番乗りだった。
斎藤はいつもの場所に座る。
自ずと夢主は斎藤の下側に座った。意図していないが沖田、斎藤、夢主の並びになる。
そこへ、がやがやと数人の幹部がやって来た。
「おぉーー夢主、それ可愛いな!!」
「って言うか、そこに座んのか?!」
夢主は質問が重なり、少し困った顔で頷いた。
座り直したのも、似合うと褒められたことも認めるのが照れ臭い。
「まぁいいけどよ」
「だな」
「わーー!!夢主ちゃん!どうしてそこに?!いえ、嬉しいですけど、どうせなら僕の横に来てくださいよ!!」
皆がすんなりと受け入れる中、沖田が叫びながらやって来た。
素早く傍まで来ると斎藤を威嚇するように見上げて膨れる。
「ちょっと斎藤さん!黙ってないで一つずれて下さい!!」
「一度座ったものは仕方あるまい」
「えーー!!斎藤さんずるいです!男らしくありません!!」
「後から文句を言う君の方が男らしくないと思うがね」
思わぬ二人のやりとり。夢主は慌てふためいて間に入った。