16.湯屋通いと屯所への帰還
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一日三食、普通に過ごせば一日三度は原田の隣に夢主が座ることになる。
斎藤同様に幹部の皆も食事を済ませるのは早かった。
優しい原田は夢主が食べ終わるまで待つことも多い。そうなると二人きりで話す時間が自然と増えていく。
食事の後に、膳の片付けを夢主が手伝うことも増えてきた。原田はそんな夢主の姿を可愛く思い眺めていた。
ふたりの距離が自然と近づいていくのを、斎藤も沖田も感じていた。
ある日、巡察の報告を終えた後、業を煮やした土方が斎藤と沖田を捉まえて部屋に座らせた。
「所でよ、俺は夢主の事を原田に宜しく頼んだ気はねぇんだが。お前ぇら一体何やってんだ!」
別に原田でも構わなかった。
自分が信頼できる人物と夢主が信頼する人物が重なっていれば。
だが土方は目の前の二人の仄かな想いに気付いているが故の指名だった。
それ故このもどかしい状況を放っておく二人に痺れを切らしたのだ。
「総司よ、お前ぇは剣の腕は一番隊だが色恋に関しちゃあ十番手だな!」
何が言いたいんですか……
言い返したいものの全く以ってその通り、沖田も反論のしようが無い。
土方はちっと舌打ちをすると、今度は斎藤を見たが、お前には何を言っても無駄だろうなと目で語りかけた。
全くその通り……
斎藤もニッと目で返した。
落ち込んで土方の部屋を出た沖田はトボトボと自分の部屋に戻って行った。
そんな小さな背中を見送って、斎藤も自分の部屋に向かう。
すると、部屋の前で原田と夢主が待っていた。
湯屋に行きたい夢主が準備をして斎藤の帰りを待っていたのだ。
巡察から戻ったのを見かけて待っていたが、いつもより部屋へ戻るのが遅い。
不思議に思い部屋の外を覗くと、たまたま原田が近くにいた。自ずと夢主に気付いた原田が「どうした」と声を掛けてきたのだ。
「湯屋へ行こうと斎藤さんを待っているのですが……なかなか戻らなくて……」
頭一つ以上背の高い原田を見上げて言った。
首が痛くねぇかと聞きたくなる姿、懸命に己を見上げる女が可愛くない訳がない。
原田は力になってやろうと夢主の背中をぽんとした。
「湯屋か。いいぜ付き合ってやる」
そう言って荷物一式を夢主の代わりに持ってやった。
「幹部が二人以上だよな……どっかに誰かいねぇか」
斎藤の部屋から外に向かう途中で誰かに出会わないか、首を左右に動かした。
そこで土方の部屋から戻ってきた斎藤に会ったのだ。
「よっ、斎藤!ちょっくら付き合えよ。お前のこと待ってたんだとよ!」
「湯屋ですか」
原田の手にある荷物。
斎藤が訊くと大きな原田の体の後ろから夢主が顔を覗かせた。
「あの……お忙しいですか」
「いや、構わん。原田さん、お供します」
そう言って三人で門をくぐった。
斎藤同様に幹部の皆も食事を済ませるのは早かった。
優しい原田は夢主が食べ終わるまで待つことも多い。そうなると二人きりで話す時間が自然と増えていく。
食事の後に、膳の片付けを夢主が手伝うことも増えてきた。原田はそんな夢主の姿を可愛く思い眺めていた。
ふたりの距離が自然と近づいていくのを、斎藤も沖田も感じていた。
ある日、巡察の報告を終えた後、業を煮やした土方が斎藤と沖田を捉まえて部屋に座らせた。
「所でよ、俺は夢主の事を原田に宜しく頼んだ気はねぇんだが。お前ぇら一体何やってんだ!」
別に原田でも構わなかった。
自分が信頼できる人物と夢主が信頼する人物が重なっていれば。
だが土方は目の前の二人の仄かな想いに気付いているが故の指名だった。
それ故このもどかしい状況を放っておく二人に痺れを切らしたのだ。
「総司よ、お前ぇは剣の腕は一番隊だが色恋に関しちゃあ十番手だな!」
何が言いたいんですか……
言い返したいものの全く以ってその通り、沖田も反論のしようが無い。
土方はちっと舌打ちをすると、今度は斎藤を見たが、お前には何を言っても無駄だろうなと目で語りかけた。
全くその通り……
斎藤もニッと目で返した。
落ち込んで土方の部屋を出た沖田はトボトボと自分の部屋に戻って行った。
そんな小さな背中を見送って、斎藤も自分の部屋に向かう。
すると、部屋の前で原田と夢主が待っていた。
湯屋に行きたい夢主が準備をして斎藤の帰りを待っていたのだ。
巡察から戻ったのを見かけて待っていたが、いつもより部屋へ戻るのが遅い。
不思議に思い部屋の外を覗くと、たまたま原田が近くにいた。自ずと夢主に気付いた原田が「どうした」と声を掛けてきたのだ。
「湯屋へ行こうと斎藤さんを待っているのですが……なかなか戻らなくて……」
頭一つ以上背の高い原田を見上げて言った。
首が痛くねぇかと聞きたくなる姿、懸命に己を見上げる女が可愛くない訳がない。
原田は力になってやろうと夢主の背中をぽんとした。
「湯屋か。いいぜ付き合ってやる」
そう言って荷物一式を夢主の代わりに持ってやった。
「幹部が二人以上だよな……どっかに誰かいねぇか」
斎藤の部屋から外に向かう途中で誰かに出会わないか、首を左右に動かした。
そこで土方の部屋から戻ってきた斎藤に会ったのだ。
「よっ、斎藤!ちょっくら付き合えよ。お前のこと待ってたんだとよ!」
「湯屋ですか」
原田の手にある荷物。
斎藤が訊くと大きな原田の体の後ろから夢主が顔を覗かせた。
「あの……お忙しいですか」
「いや、構わん。原田さん、お供します」
そう言って三人で門をくぐった。