16.湯屋通いと屯所への帰還
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休息所へ帰る道すがら、斎藤は夢主に訊ねた。
「さっきの大男は一体何者だ、相当な手練と見たが。お前、反応を示していたな。知っているのか」
鋭い二人の事だ、何か気付いただろうとは思ったが、やはり聞かれてしまった。
「はぃ……名の無き剣豪……とだけ。あのお方は……一切戦には関わらないお方です」
「そうか。最近、対幕府の人斬りが現れたと聞いていたのでな。もしやと思ったが、違うのなら構わん」
余り聞かないで欲しいと夢主が纏う空気が伝えている。
斎藤はそれ以上深くは問わなかった。
……彼に刃向かえば例え新選組が束になっても敵わない……
……その彼の飛び出して行った弟子が新選組の敵の人斬りである……
何も告げることができなかった。
休息所への道中、比古清十郎の存在に夢主は後ろ髪を引かれていた。
何事も無かったかのように時は過ぎ、夜は配給された弁当を食べ、頼んでおいたつまみを肴に斎藤と沖田は酒を始めた。
「夢主ちゃん、今日も僕達だけですし一緒にどうですか!」
空の猪口を差し出して沖田が誘った。
またあの愛らしい寝顔が見たいという可愛い下心である。
斎藤もふわふわと酔っ払う様子を気に入っているので黙って誘わせていた。
「でも……今日はずっとご一緒したいので、お酒なしでお付き合いしても、いいでしょうか」
その申し出が沖田の胸にぐっと響く。
対する斎藤は顔に全く出しはしないが、内心チッと舌打ちをした。
「もちろん!」と沖田が答え、斎藤と沖田と夢主、久しぶりに三人の夜となった。
酒を盛り上げるのは沖田の試衛館時代の話や幼い頃の思い出話。
沖田の部屋で二人過ごした夜と同じ話も幾つかあったが、夢主は楽しく話を聞いた。
斎藤はそんな夢主の姿を秘かに肴に加えて酒を味わっていた。
「斎藤さんも何か面白い昔話聞かせてくださいよ~!澄ました顔してるけど色々持ってるんでしょう、斎藤先生ー!」
「フン、人に話すような過去など持ってはおらん」
沖田のおどけた調子にも斎藤は冷静だ。
「私も少し聞いてみたいです……」
夢主も斎藤の過去は殆ど知らない。
聞いてみたいが、少し怖い気もする。
「フッ、まぁまた折を見て、だな。そのうちに話してやるさ」
意味ありげに笑うと手酌の酒を進めた。
「さっきの大男は一体何者だ、相当な手練と見たが。お前、反応を示していたな。知っているのか」
鋭い二人の事だ、何か気付いただろうとは思ったが、やはり聞かれてしまった。
「はぃ……名の無き剣豪……とだけ。あのお方は……一切戦には関わらないお方です」
「そうか。最近、対幕府の人斬りが現れたと聞いていたのでな。もしやと思ったが、違うのなら構わん」
余り聞かないで欲しいと夢主が纏う空気が伝えている。
斎藤はそれ以上深くは問わなかった。
……彼に刃向かえば例え新選組が束になっても敵わない……
……その彼の飛び出して行った弟子が新選組の敵の人斬りである……
何も告げることができなかった。
休息所への道中、比古清十郎の存在に夢主は後ろ髪を引かれていた。
何事も無かったかのように時は過ぎ、夜は配給された弁当を食べ、頼んでおいたつまみを肴に斎藤と沖田は酒を始めた。
「夢主ちゃん、今日も僕達だけですし一緒にどうですか!」
空の猪口を差し出して沖田が誘った。
またあの愛らしい寝顔が見たいという可愛い下心である。
斎藤もふわふわと酔っ払う様子を気に入っているので黙って誘わせていた。
「でも……今日はずっとご一緒したいので、お酒なしでお付き合いしても、いいでしょうか」
その申し出が沖田の胸にぐっと響く。
対する斎藤は顔に全く出しはしないが、内心チッと舌打ちをした。
「もちろん!」と沖田が答え、斎藤と沖田と夢主、久しぶりに三人の夜となった。
酒を盛り上げるのは沖田の試衛館時代の話や幼い頃の思い出話。
沖田の部屋で二人過ごした夜と同じ話も幾つかあったが、夢主は楽しく話を聞いた。
斎藤はそんな夢主の姿を秘かに肴に加えて酒を味わっていた。
「斎藤さんも何か面白い昔話聞かせてくださいよ~!澄ました顔してるけど色々持ってるんでしょう、斎藤先生ー!」
「フン、人に話すような過去など持ってはおらん」
沖田のおどけた調子にも斎藤は冷静だ。
「私も少し聞いてみたいです……」
夢主も斎藤の過去は殆ど知らない。
聞いてみたいが、少し怖い気もする。
「フッ、まぁまた折を見て、だな。そのうちに話してやるさ」
意味ありげに笑うと手酌の酒を進めた。