16.湯屋通いと屯所への帰還
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湯屋に着くと先に渡されていた湯銭を手に、素朴な質問をした。
「あの……お二人は入らないのですか」
「あぁ、交互で入るさ。お前より早い」
斎藤は綺麗好きで風呂は好きな方だ。
沖田はどちらでも良かったが、夢主に嫌われたくないので今日は入る事にした。
「じゃぁ……のんびり入ってきますねっ」
嬉しそうに首を傾げて、夢主は湯屋の中に消えて行った。
斎藤も沖田もその様子に満足して笑みが漏れる。次にどちらが先に湯浴みをするか、目が合った瞬間、沖田が掌を見せた。
「えーっと、斎藤さんお先にどうぞ~!」
万一途中で夢主が戻り、入れなくても僕は良いのでと斎藤に先を譲った。
初めての場に手間取り時間を掛けてしまった夢主。
暫く時が経って外に出ると、二人は揃って待っていた。嫌な顔を微塵も見せず出迎えてくれた。
「お待たせしました!……本当に待たせちゃいましたか……ありがとうございます」
湯上りの火照った夢主の顔も、日の光の中ではさほど気にならない。
「大丈夫ですよ、ちょうど良かったです」
沖田の笑顔も心なしかさっぱりしていた。
「ちょっと寄り道をして行く。ついて来い」
斎藤は歩き出した。その後ろを沖田と並び、ついて行く。
……どこに行くのかな……もしかしてお買い物とか……京の町見てみたいなぁ……
そんな甘い期待を抱いたが、辿り着いた先は酒屋だった。
「なぁんだ……酒屋さん……」
「どこに行くと思ったんですか、あははっ。酒屋で申し訳ないです」
落胆の色を正直に表す夢主を沖田は笑い、斎藤は素知らぬ顔で暖簾に手を掛けた。
暖簾をくぐり中に入る斎藤と沖田……すれ違うように、白い外套姿の美丈夫が中から現れた。
「ぁっ……」
夢主はその大きな体で長刀を携えた、黒く艶やかな髪の男を見上げた。
手には『朝日山万寿』の文字が書かれた酒瓶を持っている。
……比古……清十郎…………
思わぬ遭遇に夢主は目を丸くした。
だが新選組の二人と彼を関わらせてはいけない。自らの興味を振りほどいて斎藤達の後に続いた。
斎藤と沖田も瞬間振り返ったが相手が何の反応も見せなかった為、夢主を庇うように間に入れ、そのまま酒を買い求めた。
比古は顔色一つ変えず「新選組の連中か……」とだけ心の中で呟き、小屋がある山へ帰って行った。
「あの……お二人は入らないのですか」
「あぁ、交互で入るさ。お前より早い」
斎藤は綺麗好きで風呂は好きな方だ。
沖田はどちらでも良かったが、夢主に嫌われたくないので今日は入る事にした。
「じゃぁ……のんびり入ってきますねっ」
嬉しそうに首を傾げて、夢主は湯屋の中に消えて行った。
斎藤も沖田もその様子に満足して笑みが漏れる。次にどちらが先に湯浴みをするか、目が合った瞬間、沖田が掌を見せた。
「えーっと、斎藤さんお先にどうぞ~!」
万一途中で夢主が戻り、入れなくても僕は良いのでと斎藤に先を譲った。
初めての場に手間取り時間を掛けてしまった夢主。
暫く時が経って外に出ると、二人は揃って待っていた。嫌な顔を微塵も見せず出迎えてくれた。
「お待たせしました!……本当に待たせちゃいましたか……ありがとうございます」
湯上りの火照った夢主の顔も、日の光の中ではさほど気にならない。
「大丈夫ですよ、ちょうど良かったです」
沖田の笑顔も心なしかさっぱりしていた。
「ちょっと寄り道をして行く。ついて来い」
斎藤は歩き出した。その後ろを沖田と並び、ついて行く。
……どこに行くのかな……もしかしてお買い物とか……京の町見てみたいなぁ……
そんな甘い期待を抱いたが、辿り着いた先は酒屋だった。
「なぁんだ……酒屋さん……」
「どこに行くと思ったんですか、あははっ。酒屋で申し訳ないです」
落胆の色を正直に表す夢主を沖田は笑い、斎藤は素知らぬ顔で暖簾に手を掛けた。
暖簾をくぐり中に入る斎藤と沖田……すれ違うように、白い外套姿の美丈夫が中から現れた。
「ぁっ……」
夢主はその大きな体で長刀を携えた、黒く艶やかな髪の男を見上げた。
手には『朝日山万寿』の文字が書かれた酒瓶を持っている。
……比古……清十郎…………
思わぬ遭遇に夢主は目を丸くした。
だが新選組の二人と彼を関わらせてはいけない。自らの興味を振りほどいて斎藤達の後に続いた。
斎藤と沖田も瞬間振り返ったが相手が何の反応も見せなかった為、夢主を庇うように間に入れ、そのまま酒を買い求めた。
比古は顔色一つ変えず「新選組の連中か……」とだけ心の中で呟き、小屋がある山へ帰って行った。