15.小さな居場所
夢主名前設定
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夜も更けて寝支度が始まる。
部屋は一つの小さな休息所。夢主は着替える間、厨で待ってくれた斎藤と沖田を呼んだ。
「すみません、ありがとうございました」
寝巻に着替えるとどうしても色っぽく見えてしまう。
沖田は一瞬目のやり場に困ってしまった。
一方、斎藤は迷いなく寝巻姿の夢主の傍に腰を下ろした。
「おい、傷を見せろ」
「えっ……」
二晩が過ぎた。良くなってはいるが、軋むような痛みが時折襲ってくる。
斎藤は傷の経過を予測し、気に掛けていた。
「肩だ。着替えながら声を漏らしていただろう。痛むんじゃないのか」
斎藤は懐から例の打ち身薬を取り出した。わざわざ屯所から持ち出していたのだ。
「あっ……」
「塗ってやる」
斎藤は早くしろと促した。
何故だろうか、肩を見せるだけでは無い。沖田の前で斎藤に薬を塗られるのがとても恥ずかしい。
「手首もついでだ、塗ってやる」
コクリと頷くと斎藤の前に座り、右の袖を上げた。
手を握るように掴まれて手首に薬を塗られ、擽ったい。
これだけでどうしてこんなに恥ずかしいのか……思わず上目遣いでちらりと斎藤の顔を見てしまった。
「痛むか」
「いぇ……大丈夫です……」
すぐ横で見ている沖田の視線も擽ったかった。
とても心配そうに優しい眼差しを向けてくれている。
「次、肩だ」
いつもの調子で斎藤が言う。夢主は「はぃ」と小さく返すと斎藤に背を向けた。
「僕は向こうを見ていますね」
沖田も体の向きを変えようとした。
本当はとても気になった。夢主の傷の具合と、斎藤が夢主の肩に触れる事が、とても気になった。
「あの……大丈夫です。沖田さんも……傷……確認されたいでしょう……」
夢主は先日の夜の切なそうな沖田の眼差しを忘れていなかった。心から案じて労わる眼差しだった。
確かに恥ずかしいけれど……沖田の優しさと責任感に応えたい。
「でも僕は……」
沖田は白い肌を見てしまう事に抵抗があった。僕なんかが目にして良いものかと。
夢主の傷は肝心な時に力になれなかった自分のせいでもある。血に穢れた自分が傷付いた柔肌を目にして良いものか。
沖田はぼんやりと考えた。
「斎藤さんが見てるんですから、沖田さんも確認してください。大丈夫です」
沖田の戸惑いを見透かして告げ、夢主は微笑んだ。
そっと寝巻の衿をずらし、肩を晒す。
それ以上寝巻が落ちないよう、両手で寝巻を押さえる姿がとても悩ましい。
寒いくらいの夜気が、夢主の肩を冷やしていく。
部屋は一つの小さな休息所。夢主は着替える間、厨で待ってくれた斎藤と沖田を呼んだ。
「すみません、ありがとうございました」
寝巻に着替えるとどうしても色っぽく見えてしまう。
沖田は一瞬目のやり場に困ってしまった。
一方、斎藤は迷いなく寝巻姿の夢主の傍に腰を下ろした。
「おい、傷を見せろ」
「えっ……」
二晩が過ぎた。良くなってはいるが、軋むような痛みが時折襲ってくる。
斎藤は傷の経過を予測し、気に掛けていた。
「肩だ。着替えながら声を漏らしていただろう。痛むんじゃないのか」
斎藤は懐から例の打ち身薬を取り出した。わざわざ屯所から持ち出していたのだ。
「あっ……」
「塗ってやる」
斎藤は早くしろと促した。
何故だろうか、肩を見せるだけでは無い。沖田の前で斎藤に薬を塗られるのがとても恥ずかしい。
「手首もついでだ、塗ってやる」
コクリと頷くと斎藤の前に座り、右の袖を上げた。
手を握るように掴まれて手首に薬を塗られ、擽ったい。
これだけでどうしてこんなに恥ずかしいのか……思わず上目遣いでちらりと斎藤の顔を見てしまった。
「痛むか」
「いぇ……大丈夫です……」
すぐ横で見ている沖田の視線も擽ったかった。
とても心配そうに優しい眼差しを向けてくれている。
「次、肩だ」
いつもの調子で斎藤が言う。夢主は「はぃ」と小さく返すと斎藤に背を向けた。
「僕は向こうを見ていますね」
沖田も体の向きを変えようとした。
本当はとても気になった。夢主の傷の具合と、斎藤が夢主の肩に触れる事が、とても気になった。
「あの……大丈夫です。沖田さんも……傷……確認されたいでしょう……」
夢主は先日の夜の切なそうな沖田の眼差しを忘れていなかった。心から案じて労わる眼差しだった。
確かに恥ずかしいけれど……沖田の優しさと責任感に応えたい。
「でも僕は……」
沖田は白い肌を見てしまう事に抵抗があった。僕なんかが目にして良いものかと。
夢主の傷は肝心な時に力になれなかった自分のせいでもある。血に穢れた自分が傷付いた柔肌を目にして良いものか。
沖田はぼんやりと考えた。
「斎藤さんが見てるんですから、沖田さんも確認してください。大丈夫です」
沖田の戸惑いを見透かして告げ、夢主は微笑んだ。
そっと寝巻の衿をずらし、肩を晒す。
それ以上寝巻が落ちないよう、両手で寝巻を押さえる姿がとても悩ましい。
寒いくらいの夜気が、夢主の肩を冷やしていく。