15.小さな居場所
夢主名前設定
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休息所には一通りの必要な物が揃えられていた。
風呂は無いが小さな厨もついている。
「沖田さん、本当にわざわざありがとうございます。お忙しい沖田さんに……申し訳ないです……」
「フッ、俺はお前の子守で暇だがな」
沖田に告げた礼の言葉に斎藤が冗談半分に食って掛かった。
「そっ、そういう訳ではっ、斎藤さんも本当にありがとうございます!いつも、お世話になりっぱなしで……なんとお礼を言えば良いか分からないくらいです」
分かっているとばかりに斎藤は鼻で笑った。
男二人は手早く弁当を食べ終え、足を崩して昨晩の宴の話で盛り上がっている。沖田が一方的に盛り上がっていたのだが。
二人が話すのは斎藤が夢主の潜む部屋へ向かって以来。
沖田は芹沢の粛清の細やかな状況について斎藤に報告したかったが、夢主の姿を見て口を噤んでしまった。
逸る気持ちはあるが、大切な人に聞かせたくない話。
自分もやはり剣客なのだ、血の話に心が躍るとは……沖田は自分の中の狂気に気が付いた。
「あ、そうそう!まだ正式には伝えられていませんが、新選組の組織をまた変えるそうですよ」
人が減った事ですし……と言いそうになり間を置いた。
「僕は、一番隊組長。斎藤さんは三番隊の組長だそうです」
にこりと沖田が告げた言葉に、黙って二人の顔を交互に見ているだけだった夢主が「あっ」と口を開いた。
「一番隊組長、沖田総司!」
「えぇ、そうなりますね」
何やら嬉しそうに声を上げる。
沖田も喜ばしく答えた。
「わぁ……三番隊組長……斎藤一……」
今度は何かを確認するように静かに呟いた。
「それがどうかしたか」
「いえっ、ただ……その言葉が……いいなぁと……」
二人は意味が分からず顔を見合わせた。
とにかく夢主が顔色を良くしたので沖田は繰り返してみた。
「一番隊組長、沖田総司とは僕のことです!」
「わぁ……」
夢主は両手で口元を隠し目を細めて喜んでいる。
思った通りの反応に沖田は気を良くして立ち上がった。
おもむろに鞘のまま刀を手に取ると、突きの構えをして夢主の顔を流し目で見た。
「一番隊組長、沖田総司!!」
「きゃぁ…………」
美しい構えと余り見ぬ沖田の妖しげな目つきに、夢主は固まってしまった。
沖田を見て頬を染める夢主の姿を初めて見た斎藤は、フンと鼻をならした。
「馬鹿馬鹿しい、付き合いきれんな」
夢主が斎藤にもやって欲しいと頭の中にその姿を思い描いていた事など、想像もしなかった。
風呂は無いが小さな厨もついている。
「沖田さん、本当にわざわざありがとうございます。お忙しい沖田さんに……申し訳ないです……」
「フッ、俺はお前の子守で暇だがな」
沖田に告げた礼の言葉に斎藤が冗談半分に食って掛かった。
「そっ、そういう訳ではっ、斎藤さんも本当にありがとうございます!いつも、お世話になりっぱなしで……なんとお礼を言えば良いか分からないくらいです」
分かっているとばかりに斎藤は鼻で笑った。
男二人は手早く弁当を食べ終え、足を崩して昨晩の宴の話で盛り上がっている。沖田が一方的に盛り上がっていたのだが。
二人が話すのは斎藤が夢主の潜む部屋へ向かって以来。
沖田は芹沢の粛清の細やかな状況について斎藤に報告したかったが、夢主の姿を見て口を噤んでしまった。
逸る気持ちはあるが、大切な人に聞かせたくない話。
自分もやはり剣客なのだ、血の話に心が躍るとは……沖田は自分の中の狂気に気が付いた。
「あ、そうそう!まだ正式には伝えられていませんが、新選組の組織をまた変えるそうですよ」
人が減った事ですし……と言いそうになり間を置いた。
「僕は、一番隊組長。斎藤さんは三番隊の組長だそうです」
にこりと沖田が告げた言葉に、黙って二人の顔を交互に見ているだけだった夢主が「あっ」と口を開いた。
「一番隊組長、沖田総司!」
「えぇ、そうなりますね」
何やら嬉しそうに声を上げる。
沖田も喜ばしく答えた。
「わぁ……三番隊組長……斎藤一……」
今度は何かを確認するように静かに呟いた。
「それがどうかしたか」
「いえっ、ただ……その言葉が……いいなぁと……」
二人は意味が分からず顔を見合わせた。
とにかく夢主が顔色を良くしたので沖田は繰り返してみた。
「一番隊組長、沖田総司とは僕のことです!」
「わぁ……」
夢主は両手で口元を隠し目を細めて喜んでいる。
思った通りの反応に沖田は気を良くして立ち上がった。
おもむろに鞘のまま刀を手に取ると、突きの構えをして夢主の顔を流し目で見た。
「一番隊組長、沖田総司!!」
「きゃぁ…………」
美しい構えと余り見ぬ沖田の妖しげな目つきに、夢主は固まってしまった。
沖田を見て頬を染める夢主の姿を初めて見た斎藤は、フンと鼻をならした。
「馬鹿馬鹿しい、付き合いきれんな」
夢主が斎藤にもやって欲しいと頭の中にその姿を思い描いていた事など、想像もしなかった。