14.粛清の日
夢主名前設定
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すると再び永倉が厠へ立った。
「ちっとばかし行って来るぜ!」
「はぁい!お気をつけて~!」
満面の笑みで夢主は手を振った。
斎藤は永倉が出て行くのを見届けてから夢主をもう一度確認した。
「……ぅうん……」
またまどろんでいる。
「どういう事だ」
にこにこ笑いを浮かべたまま、うとうと目を瞑っていた。
そして以前と同じように斎藤に凭れかかって来た。
「おぃ……本当にどうした」
どちらが本当なのか、夢主を起こそうとするが、反応がないので寝てしまったのかと、暫くそのまま変化があるのを待った。
「おぅ戻ったぜー」
「はッ!!永倉さん!」
永倉が部屋に戻り、急に夢主が飛び起きた。
斎藤には分かった気がした。
「永倉さん、試しにもう一度部屋の外に出てもらえませんか」
「あぁ?なんでぇ」
「いいから、お願いします」
永倉は渋々、斎藤の言う通りに外に出た。
すると斎藤の思った通り、夢主は再びふにゃふにゃと倒れ掛かってきた。
「おぃなんだ、中入っていいか」
永倉が障子をずらし中を覗くように顔を出した。
咄嗟に、斎藤は自らの口に人差し指を当てて「静かに」と伝える。
永倉は物音を立てぬように静かに部屋に入り、気配を殺して斎藤に近付いた。
「どうした……夢主のやつ、ついに酔ったのか……」
訝しげに夢主を覗き込んだ。
「いや……どうらやさっきから酔っていたようですね……ただ異様に気を張っていたようで……それで辛うじて正気を保っていたのだと思います」
「どういうことだ?」
「分かりませんか、永倉さんがいない時は完全に気を抜いて泥酔状態に入ってしまうんですよ」
斎藤は失笑して事の顛末を語った。
「そりゃ、どういう事だ!」
ひそひそ囁き合いながらも、永倉は怒鳴るように口を大きく広げた。
「つまりは……お前と総司の前では完全に気を許していて……俺の前じゃぁそうはいかねぇってことか!!」
永倉はまさかと衝撃を受けた。そんな警戒される覚えと言えば……。
「あぁっ……そうか……俺に肌を求められた事で……未だに警戒させちまうって事か……そうか……夢主のやつ、そんなに……。俺の事……怖かったんだな」
永倉は深く落ち込んだ。
普段は笑顔で接してくれていた。もう夢主の中で踏ん切りが付いたのだと勝手に受け取っていた。
今は斎藤の腿に頬を乗せ、膝枕ですやすやと寝息を立てている。無垢な寝顔は愛らしい童のようだ。
寝ながら、愛おし気に斎藤の膝に手を添えている。
「すまねぇな……」
永倉はぽつりと囁いた。
外は土砂降りの雨になっていた。
「ちっとばかし行って来るぜ!」
「はぁい!お気をつけて~!」
満面の笑みで夢主は手を振った。
斎藤は永倉が出て行くのを見届けてから夢主をもう一度確認した。
「……ぅうん……」
またまどろんでいる。
「どういう事だ」
にこにこ笑いを浮かべたまま、うとうと目を瞑っていた。
そして以前と同じように斎藤に凭れかかって来た。
「おぃ……本当にどうした」
どちらが本当なのか、夢主を起こそうとするが、反応がないので寝てしまったのかと、暫くそのまま変化があるのを待った。
「おぅ戻ったぜー」
「はッ!!永倉さん!」
永倉が部屋に戻り、急に夢主が飛び起きた。
斎藤には分かった気がした。
「永倉さん、試しにもう一度部屋の外に出てもらえませんか」
「あぁ?なんでぇ」
「いいから、お願いします」
永倉は渋々、斎藤の言う通りに外に出た。
すると斎藤の思った通り、夢主は再びふにゃふにゃと倒れ掛かってきた。
「おぃなんだ、中入っていいか」
永倉が障子をずらし中を覗くように顔を出した。
咄嗟に、斎藤は自らの口に人差し指を当てて「静かに」と伝える。
永倉は物音を立てぬように静かに部屋に入り、気配を殺して斎藤に近付いた。
「どうした……夢主のやつ、ついに酔ったのか……」
訝しげに夢主を覗き込んだ。
「いや……どうらやさっきから酔っていたようですね……ただ異様に気を張っていたようで……それで辛うじて正気を保っていたのだと思います」
「どういうことだ?」
「分かりませんか、永倉さんがいない時は完全に気を抜いて泥酔状態に入ってしまうんですよ」
斎藤は失笑して事の顛末を語った。
「そりゃ、どういう事だ!」
ひそひそ囁き合いながらも、永倉は怒鳴るように口を大きく広げた。
「つまりは……お前と総司の前では完全に気を許していて……俺の前じゃぁそうはいかねぇってことか!!」
永倉はまさかと衝撃を受けた。そんな警戒される覚えと言えば……。
「あぁっ……そうか……俺に肌を求められた事で……未だに警戒させちまうって事か……そうか……夢主のやつ、そんなに……。俺の事……怖かったんだな」
永倉は深く落ち込んだ。
普段は笑顔で接してくれていた。もう夢主の中で踏ん切りが付いたのだと勝手に受け取っていた。
今は斎藤の腿に頬を乗せ、膝枕ですやすやと寝息を立てている。無垢な寝顔は愛らしい童のようだ。
寝ながら、愛おし気に斎藤の膝に手を添えている。
「すまねぇな……」
永倉はぽつりと囁いた。
外は土砂降りの雨になっていた。