【明】会えない貴方の
夢主名前設定
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初めて結ばれたあの日から、二人は身も心も夫婦になった。
けれども覚悟した通り、斎藤は任務に追われて家に戻れない日々が続いている。
夢主は優しく抱かれた夜を思い出して、体に熱を宿していた。
「一さんは……平気なのかな。男の人のほうが、我慢できないんじゃ……」
ある日、面白いものがあるぞと、一緒に暮らし始めた斎藤が見せてくれた物がある。
昔、新選組の屯所で原田左之助が持っていたのと同じ物。
当時は教えてもらえなかったが、初めて明かされた時、夢主は卒倒しそうなほど顔を赤く染めた。
その時、見せられたのは男根を形取った張形、自慰に使う淫具だ。
持ってみろと差し出されたが夢主は真っ赤な顔で断った。
斎藤はいつでも使えと笑いながら、張形を箪笥に戻した。
夢主は今、家の二階にある箪笥の前で、引き出しを開けて張形を眺めていた。
「男の方は道具……なんてないよね、あるのかな……」
男が自慰に使う道具があるかどうかも知らぬ夢主は、斎藤がそんな気分になったら、どのように処理するのか真面目に考え込んでしまった。
引き出しを見る限り、怪しい道具は張形のみ。
「は、一さんが自分で……うぅっ、想像できない、きっとしないよね……でも、……」
苦しそうな顔で自らの逸物を握る斎藤を想像してしまった夢主、頬を染めるが、別段みっともない姿には思えなかった。
「一さんなら何しても……恰好いい……うん、きっと……」
一旦納得した夢主だが、斎藤の性格を考えて首を捻ってしまった。
あの人には高潔な一面がある。
斎藤には自ら処理する選択肢がないかもしれない。
自分の手でしないのならば、相手を用意するしかない。
「情報収集のついでに色町で、とか……」
贔屓の妓のもとへ通っていたのは昔の話。
誠実な斎藤がそんなことをするだろうか。
「でも一さんも吉原に詳しかったよね……総司さんが通ってるみたいに、まさか一さんも……」
しかし、いちいち妓を買わずとも今の斎藤なら情報を手に入れられるはず。
何も相手が玄人とは限らない。
夢主は憂苦して首を振った。
思い出せば以前、出勤を見送るついでに外で一緒に朝から蕎麦を食べた時のこと。
すれ違う女が笑顔で会釈をしてきたことがあった。
朝、斎藤を見送った時、一度ではなく何度か目撃している。斎藤は藤田五郎の顔で会釈を返していた。
そのうちに娘は声に出して朝の挨拶をしてきた。
「警官だから、きっと何か助けてあげたんだよね、きっと……一さん優しいし、あれで意外と……モテるから……」
助けた町娘は警官の顔を覚えていた。
毎朝通る道であれば、何度すれ違っても不思議ではない。
「毎日すれ違ってるのかな……」
毎日顔を見れば親近感が湧く。
親しみを覚えれば、普段は嫌な顔をする斎藤も、声を掛けられて話に応じるかもしれない。
夢主は不安に苛まれ、膝の上で拳を握った。
「綺麗な方で、優しそうで……明るくて積極的な印象……あの人……」
積極的な女にその気があるのかどうかは分からないが、相手が所帯持ちでも構わない女だったら。
外でされるのを嫌がる妻と違い、どこでも構わないと男を誘う女だったら。
「でも、一さんはそんなことしないし……それに勝手に疑うなんて私、女の人にも失礼……恥ずかしい……」
勝手な想像でやきもちを妬くなどみっともない。
夢主は顔を覆って首を振った。
心も体もはしたない。
斎藤の情事を思ううちに自らの熱が昂っていることに気付いてしまった。
けれども覚悟した通り、斎藤は任務に追われて家に戻れない日々が続いている。
夢主は優しく抱かれた夜を思い出して、体に熱を宿していた。
「一さんは……平気なのかな。男の人のほうが、我慢できないんじゃ……」
ある日、面白いものがあるぞと、一緒に暮らし始めた斎藤が見せてくれた物がある。
昔、新選組の屯所で原田左之助が持っていたのと同じ物。
当時は教えてもらえなかったが、初めて明かされた時、夢主は卒倒しそうなほど顔を赤く染めた。
その時、見せられたのは男根を形取った張形、自慰に使う淫具だ。
持ってみろと差し出されたが夢主は真っ赤な顔で断った。
斎藤はいつでも使えと笑いながら、張形を箪笥に戻した。
夢主は今、家の二階にある箪笥の前で、引き出しを開けて張形を眺めていた。
「男の方は道具……なんてないよね、あるのかな……」
男が自慰に使う道具があるかどうかも知らぬ夢主は、斎藤がそんな気分になったら、どのように処理するのか真面目に考え込んでしまった。
引き出しを見る限り、怪しい道具は張形のみ。
「は、一さんが自分で……うぅっ、想像できない、きっとしないよね……でも、……」
苦しそうな顔で自らの逸物を握る斎藤を想像してしまった夢主、頬を染めるが、別段みっともない姿には思えなかった。
「一さんなら何しても……恰好いい……うん、きっと……」
一旦納得した夢主だが、斎藤の性格を考えて首を捻ってしまった。
あの人には高潔な一面がある。
斎藤には自ら処理する選択肢がないかもしれない。
自分の手でしないのならば、相手を用意するしかない。
「情報収集のついでに色町で、とか……」
贔屓の妓のもとへ通っていたのは昔の話。
誠実な斎藤がそんなことをするだろうか。
「でも一さんも吉原に詳しかったよね……総司さんが通ってるみたいに、まさか一さんも……」
しかし、いちいち妓を買わずとも今の斎藤なら情報を手に入れられるはず。
何も相手が玄人とは限らない。
夢主は憂苦して首を振った。
思い出せば以前、出勤を見送るついでに外で一緒に朝から蕎麦を食べた時のこと。
すれ違う女が笑顔で会釈をしてきたことがあった。
朝、斎藤を見送った時、一度ではなく何度か目撃している。斎藤は藤田五郎の顔で会釈を返していた。
そのうちに娘は声に出して朝の挨拶をしてきた。
「警官だから、きっと何か助けてあげたんだよね、きっと……一さん優しいし、あれで意外と……モテるから……」
助けた町娘は警官の顔を覚えていた。
毎朝通る道であれば、何度すれ違っても不思議ではない。
「毎日すれ違ってるのかな……」
毎日顔を見れば親近感が湧く。
親しみを覚えれば、普段は嫌な顔をする斎藤も、声を掛けられて話に応じるかもしれない。
夢主は不安に苛まれ、膝の上で拳を握った。
「綺麗な方で、優しそうで……明るくて積極的な印象……あの人……」
積極的な女にその気があるのかどうかは分からないが、相手が所帯持ちでも構わない女だったら。
外でされるのを嫌がる妻と違い、どこでも構わないと男を誘う女だったら。
「でも、一さんはそんなことしないし……それに勝手に疑うなんて私、女の人にも失礼……恥ずかしい……」
勝手な想像でやきもちを妬くなどみっともない。
夢主は顔を覆って首を振った。
心も体もはしたない。
斎藤の情事を思ううちに自らの熱が昂っていることに気付いてしまった。