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ベジータ
ナッパよ
お前は覚えているか -
ベジータ
オレが四つか五つの頃
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ベジータ
お前の髪を手綱にして、馬のように乗りこなし
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ベジータ
お前の背に身を隠したまま気弾を放つ戦法…
-
ベジータ
「騎乗馬戦法」と名づけて、あの頃はお前に乗りまくっていた
-
ベジータ
アレは実に楽しかった
-
ナッパ
すまねえベジータ
-
ナッパ
今やっとLINEに気づいたぜ
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ナッパ
3秒以内に返信できなくて悪かった
-
ベジータ
構わん
ただの退屈しのぎだ -
ナッパ
騎乗馬戦法、もちろん覚えてるぜ
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ナッパ
昔はよく遊んだもんだよな!(^_^)
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ベジータ
顔文字は禁止だと言った筈だ
-
ナッパ
すまねえ
-
ナッパ
懐かしくて、つい感情が出ちまった…
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ベジータ
まあいい
-
ベジータ
お前は先の侵略地で良い仕事をしたからな
許してやろう -
ナッパ
へへっ
見ててくれベジータ -
ナッパ
次の戦地でも
フリーザ様の侵略期限を大幅に短縮できるよう尽力するからよ! -
ベジータ
大いに期待しているぞ
-
ナッパ
おう、任せとけよ
-
ベジータ
だがナッパよ
-
ベジータ
調子に乗って大地を削りすぎるのが
お前の悪い癖だ -
ナッパ
すまねえ
-
ナッパ
戦いに夢中になると、細え事が頭から飛んじまってよ…
-
ベジータ
次から気をつけるんだぞ
-
ナッパ
おう、分かったぜ
-
ベジータ
先の戦地でのお前の働きを見ていたら
ガキの頃の愉快な記憶が蘇ってな -
ベジータ
もう一度
お前と騎乗馬戦法をやってみたいもんだ -
ベジータ
敵の驚愕する面が
ふふふ
アレはたまらなく面白かった -
ナッパ
すまねえベジータ
-
ナッパ
今のオレじゃあ
もう、、、 -
ナッパ
ごめんなベジータ
オレが禿げちまったばっかりに…
( ; ; ) -
ベジータ
何をしょげてる
-
ベジータ
オレがサイヤに求めるのは
誇りと戦闘力のみだ
髪なんぞどうでもいい -
ナッパ
でもベジータは
騎乗馬戦法をやりたいんだろ? -
ベジータ
懐かしくなっただけだ
-
ベジータ
あんなものはガキのお遊びだ
-
ナッパ
そうだな
アレはベジータが小さかったから出来た事だもんなあ -
ナッパ
ベジータも大きくなったよなあ〜
(о´∀`о) -
ナッパ
なあベジータ
-
ナッパ
オレ、もっと戦闘力を磨いて
ベジータがゴキゲンになれるよう頑張るからな! -
ベジータ
よく言ったナッパ
-
ベジータ
それでこそ名門エリート
-
ベジータ
オレの望みを誰よりも分かっているのは
ナッパよ、お前だけだ -
ナッパ
当然よ!
オレは古くからの家臣だからな! -
ベジータ
今度お前に褒美をやろうと思うが
何が望みだ -
ベジータ
金か?
特別休暇か? -
ナッパ
んなモン要らねえよ!
-
ナッパ
オレはベジータと一緒に戦闘できたら
それだけで満足なんだ! -
ベジータ
実にサイヤらしい台詞だ
-
ベジータ
やはりお前は上級戦士
ラディッツとは大違いだ -
ナッパ
まあまあ、そう言うなよ
ラディッツもアレで頑張ってんだからよ -
ベジータに褒められて上機嫌のナッパである
-
その頃、ラディッツは
-
ラディッツ
いつまで絡むつもりだ貴様
-
ジース
だって納得いかねえよ
-
ジース
こないだの「フリーザ軍美髪コンテスト」
ザーボンがぶっちぎりの一位は飲むとしても -
ジース
なんでお前が2位で
このジース様が3位なんだよ!? -
ラディッツ
まだ言うのか
-
ラディッツ
あれは厳正な審査で決定されたのだ
文句を挟む余地などない -
ラディッツ
いつまで駄々をこねている
-
ジース
髪色の希少性を考えれば
オレが2位に決まってんだ! -
ジース
黒髪なんか他にも居るし
珍しくもなんともねーだろ! -
ラディッツ
希少性?
-
ラディッツ
そんなものは関係無いな
-
ジース
黙れ!
-
ジース
お前より
オレの方が映える髪のはずなんだ! -
ジース
肌が赤で、髪が純白…
これ以上派手なコントラストがあるかー!? -
ジース
美の観点で言えば
お前よりオレの方がまさってるはずなんだー! -
ラディッツ
バカめ
-
ラディッツ
貴様はのっけから着眼点を間違えているな
-
ジース
着眼点…?
-
ジース
どういう事だ?
-
ラディッツ
貴様の落ち度
-
ラディッツ
それは髪以外に勝算を分散させてしまった事だ
-
ジース
なんだと
-
ラディッツ
コンテストで審査されるのは
髪の美しさのみであるのに
貴様はコンテスト壇上で気取ろうとして
変なポーズを決めながら動き回っていた -
ラディッツ
それが仇となったのだ
-
ジース
変なポーズだぁ〜?
-
ジース
あのカッコいいポージングが分からねえとは
お前の審美眼も地に落ちたモンだな -
ラディッツ
やはり気づいてないようだな
-
ラディッツ
動き回るあまり
スポットライトの照射枠から何度もはみ出していた事を -
ジース
えっ!
-
ジース
マジで!?
-
ラディッツ
マジだ
-
ラディッツ
そんな事で、まともに審査が受けられるとでも思ったか?
-
ラディッツ
愚か者め
-
ジース
クソッ…
-
ジース
それでも
黒より白の方が美しい事には変わらねえんだー! -
ラディッツ
甘いな
-
ラディッツ
もうひとつの貴様の敗因は
色彩にとらわれすぎてしまった事だ -
ラディッツ
ライトに照らされた貴様の髪は
結構ボサボサだったぞ -
ラディッツ
キューティクル面で言えば
戦闘力はオレの方が遥かに上だったのだ -
ジース
えええー!?
-
ジース
嘘つけこの野郎ー!
-
ラディッツ
嘘ではない
-
ジース
いやいや、そんなハズはねえって!
トリートメントめちゃくちゃ頑張ったっつーの! -
ラディッツ
足りんかったのではないか?
-
ラディッツ
こういうのは長年の積み重ねだからな
-
ラディッツ
鬱陶しいから
黙ってろ3位 -
ジース
3位って呼ぶなー!
-
ラディッツ
ふふふ
-
ラディッツ
オレの美髪戦闘力に賭ける執念を
舐めてもらっては困るな -
ラディッツ
よっしゃキマった〜〜(≧∀≦)
-
ラディッツ
誇り高いサイヤ感が出せたぞ!(^^)v
-
ジース
へっ
-
ジース
調子に乗るなよラディッツ
-
ジース
お前がどれだけ頑張ろうが
サイヤ全体の「髪戦闘力」は上がらねーんだからよ… -
ラディッツ
何の事だ
-
ジース
だってナッパ禿げてんじゃねーかよ
( ´,_ゝ`)プッ -
ラディッツ
その名前をここで出すなーーーーー!!
-
ジース
お前がどんだけカッコつけようが
「サイヤ人は歳食ったら禿げる説」が囁かれる事は免れねえぜ -
ラディッツ
な、なんだと…
-
ジース
もームカついたから言いふらしてやる
-
ジース
「サイヤはオッさんになると禿げる説」をなあ!!
-
ラディッツ
なんだとー!
-
ラディッツ
なんと卑怯な真似を
貴様…! -
ジース
サイヤにそれは言わせねーぞ
-
ジース
お前らサイヤ人は金持ってるから
コンテストの審査員に賄賂を掴ませた可能性がある… -
ジース
ベジータは卑怯だからな〜
-
ラディッツ
いや、それは無い!
-
ラディッツ
コンテストの事は王子に言わずに参加した!
賄賂など有り得ん! -
ジース
そんなの知らねーよ
-
ジース
3位はねえわマジで…
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ラディッツ
頼むジース!
-
ラディッツ
恥ずかしいから
それだけはやめてくれーー! -
この後、フリーザ軍内に「サイヤ人は齢を取ると100%禿げるダサ民族」という噂が蔓延った。
-
軍隊とは、厳しく無情な世界である。
所属する戦闘員の心も殺伐としているのが常であった…。 -
ベジータ
ナッパ!
-
ベジータ
おいナッパー!
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ベジータ
返事をしやがれ!
-
ベジータ
3秒以内に返信しなければ
処刑に処すと宣告しただろうがーー! -
ベジータ
忘れたのかボンクラめ!
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ベジータ
なんだこの反応の遅さは!?
-
ベジータ
まだかナッパーー!
-
ベジータ
なるほど
-
ベジータ
死にたいようだな貴様
-
ナッパ
すまねえベジータ!
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ナッパ
ちょっと小便で手が離せなくてよ
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ベジータ
小便だと?
-
ベジータ
そんなもの
-
ベジータ
気合いで堰き止めやがれ馬鹿野郎ーー!!
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ベジータ
膀胱を破裂させてでも堰き止めて
オレのLINEを優先するのが上級としての責務だろうがーー! -
ナッパ
す、すまねえ
-
ベジータ
全く貴様には頭に来るぜ!
-
ベジータ
貴様のおかげで
オレ様のプライドはズタズタだ! -
ナッパ
ど、
どうしたんだよベジータ -
ナッパ
なんでこんなに怒ってんだぁ〜?
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ナッパ
オレ、ベジータに何かしたっけ…?
(・・;) -
ベジータ
今現在
軍内に蔓延る噂を知っているか -
ナッパ
いや、知らねえけど…
なんだ? -
ベジータ
忌まわしい噂が飛び交ってやがる…!
-
ベジータ
サイヤ人は齢を重ねると
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ベジータ
ナッパの如く全員禿げるという噂だーー!!
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ベジータ
貴様、どうしてくれるんだ!?
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ベジータ
さっきからキュイの煽りがしつこくて敵わんぜ!
-
ベジータ
コピペしてやるから貴様も読んでみろーー!
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ベジータ
「ベジータ〜、楽しい噂で賑わってんなあ〜
( ´Д`)y━・~~
今は気取ってやがっても
お前はどうせ禿げるんだってなぁ〜?
誇り高い王子の行く末が禿げピカとか……ブヒャヒャヒャ!!
マジ笑えるんですけど〜?
可哀想だなベジータwww
今のうちに優しいキュイ様が
宇宙アデ○ンス予約しといてやってもいいぜ
プギャーwwwww」 -
ベジータ
↑こんな類のLINEを連投してきやがる!
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ナッパ
キュ、キュイを殺そうぜベジータ
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ベジータ
それは出来ん!
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ベジータ
軍法に触れちまうだろ!
くだらん案を寄越してんじゃねえデクノボーが!! -
ナッパ
す、すまねえ
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ベジータ
この件については貴様が悪い
-
ベジータ
オレ様の傷ついた誇りを取り戻すべく
貴様が全責任を取りやがれ -
ナッパ
ええええ( ゚д゚)
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ナッパ
ど、
どうやって? -
ベジータ
言われんでも分かるだろう
-
ベジータ
髪を生やせ!
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ベジータ
即刻生やしてこい!
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ベジータ
そして忌まわしい噂と
クソなレッテルを覆せナッパー! -
ナッパ
いや、そんな…
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ナッパ
急に生やせって言われてもよ
-
ベジータ
しのごの言うなよ?
生やさねば貴様を殺す -
ベジータ
髪の無いサイヤ人は必要ない
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ナッパ
勘弁してくれベジータ…
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ナッパ
なんとかするから命だけは…
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ナッパ
髪とかどうでもいいって言ってたのに…
(´;ω;`) -
ベジータ
3ヶ月待ってやる
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ベジータ
急に生やしてヅラだと疑われるのも癪だからな
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ベジータ
死ぬ気で生やせナッパよ
今こそ上級戦士の本気を見せてみろ -
ナッパ
おう…
分かったぜベジータ -
ナッパ
オレ、どうしよう?
-
ナッパ
なんも方法が思いつかん…
(´;Д;`) -
ナッパ
とりあえず…
養毛剤買うか… -
こうしてナッパの育毛生活が始まった
-
理不尽な要求を突きつけてくるベジータに対して怒りを募らす事は無かった
-
それどころか、他人に傍受される可能性のあるスカウターを避けて、LINEで髪の話をしてくれるベジータの優しい心根に感動すら覚えるナッパであった
-
このイカれた奴隷根性は死ぬまで治る事は無かった
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