ヘボ日記
忘れられないドラマ
2023/03/11 18:17日記
今でも忘れられないテレビドラマがありまして、それは「この世の果て」というドン暗ラブストーリーです。
三上博史、鈴木保奈美、豊川悦司、桜井幸子、横山めぐみ…と俳優陣は実力派で揃えられてまして、放送されたのは29年前の平成6年。
まだ「月9」枠という言葉が、キラキラと輝いておった時代の作品です。
なんかイケてる若い男女が、すげえイケてる感じで恋愛ドラマをやって大ヒットを飛ばすのが、この「月9」枠だったような記憶があります。
そのような勝負枠で、このドラマは、なんか全然イケてない、幸薄く暗く重いキャラクターを揃えて、人生から転落しかけてヒイヒイしてるような絶望感の中にも、ピュア〜な恋愛心情を炙り出し、見事に披露してくれた珍しいドラマであったと記憶しています。
もともと三上博史が好きだったので、当時は食い入るように観てました😂
ヒロインは地味で超無愛想な郵便局員。その妹は視覚障害者。そこに記憶を失った元ピアニストが現れて…という始まりだった気がする。
それぞれが、のっけから大きな「喪失」を抱えておるんですな。
元気で楽しそうなのはモブだけ。
という、なかなかの地獄モードでありました。
ギリギリのとこで助けあってなんとか生きてる感じなんです。モノに溢れていて治安は比較的良いと言われる日本国の中で、こんなギリギリの人たちがいる…と、当時ド貧乏で子どもだった私は、興味を持って真剣にドラマの行方を追ってました。
どんどん不運に見舞われるんですよ。
ちょっと良い感じになったと思ったら、落とし穴に落ちて酷い事になる…。なかなか「幸福」を見せてくれないんです。
そして、ただ自分の幸福を求めてるだけなのに、それを実現するには大きなリスクが付き纏うという、徹底的な不条理といいますか、「世の中そんなに甘くありまへんのやで〜」という、かなりきつい現実感を味わせてくれるんですね。
ちょっとまあ、普通の月9みたいに、キラキラと素敵な感じにはいかないんですよ。
そこが妙にリアルでした。
人間の醜い姿、卑小さ、悪徳、そういうのを沢山見せてくれるんです。
サザエさんとちびまる子ちゃん、どっちが好きかと言ったらちびまる子ちゃんだった私には、「この世の果て」というドラマは本当の事を見せてくれる作品という感じで、何度も何度も観たもんです。
この頃から、すでに「嘘くせー綺麗事」の類に拒絶反応をしてたんでしょうね。
なんつー厭なガキでしょうか(゚∀゚)
そりゃー教師にも嫌われるわけだ(゚∀゚)
人間の正体を暴く心理テストが出てくるんですよね。
この世に自分独りになって、船に乗って逃げなければならない時。
4匹の動物の中から一匹だけ連れていけますが、何を選びますか?
馬 孔雀 虎 羊
閲さんは何を選ばれましたか☺️
私は当時、羊を選んでました。
四つの動物はその人が最も大切にするモノの象徴でありまして、答えがこれです↓
馬=仕事
孔雀=お金
虎=プライド
羊=愛情
視覚障害者の妹が、この心理テストで、悪者の魂胆を暴くシーンはドキドキしながら見たものです。
そして、三上と鈴木演じる二人が揃って選んだのは「船に乗らない事」でありました。
なんでしょうね。
この選択の理由とか、気持ちとかは、詳しくは説明してくれないんですよね。
運命は静かに受け入れる、という気持ちなのか。絶望が深過ぎて何かを求める気持ちなんか失ってしまっているのか。
後者だったとしても、このシーンはなんだか凄くあたたかな情に溢れていて、美しかった記憶があります。
酷い展開の多いドラマです。
悪役側にも悲惨な事が起こります。
でも最後には純愛みたいなものを見せてくれるんですよ。
悪役の女が酸を浴びてしまい、顔面ぐちゃぐちゃになってしまった時、彼女に恋こがれていた障害者の男は自分の目を潰すんです。これでお前の顔は見えない、と言って。強烈に覚えてます。
最後の最後で、画廊をやってる女主人のシーン。
三上演じる、元ピアニストが仕事を求めて面接するんです。
そこで、ふたつの画を見せられて、どちらが価値ある作品か問われます。
彼は、青い画を指さします。
そしたら女主人は、笑いながら、それは無名の画家の作品で価値なんて無い、というような事を言う。
失格を悟り、彼は去ろうとしますが、「夫の絵ですの」と女主人は語ります。
自分にとって一番の宝、一番の傑作は、死んだ夫が遺した作品である。
人々の評判など関係なく、人間の心の機微を分かってくれる者でなければ、画を売る仕事に関わって欲しくない。
女主人は、そんな気持ちだったのでしょうか。
画廊の仕事を得る事ができ、帰った先には、ヘリから飛び降りて心身ともに不具となった愛する女がいる…という終わりかたでした。
暗く悲惨なんですが、どこか美しいんですね。
同時に、人はここまでしなければ、真の愛や信頼を得る事が出来ないのか…という絶望と悲しさが募ります。
野島伸司はこういう世界を作り出すと凄いです。
ではでは。
三上博史、鈴木保奈美、豊川悦司、桜井幸子、横山めぐみ…と俳優陣は実力派で揃えられてまして、放送されたのは29年前の平成6年。
まだ「月9」枠という言葉が、キラキラと輝いておった時代の作品です。
なんかイケてる若い男女が、すげえイケてる感じで恋愛ドラマをやって大ヒットを飛ばすのが、この「月9」枠だったような記憶があります。
そのような勝負枠で、このドラマは、なんか全然イケてない、幸薄く暗く重いキャラクターを揃えて、人生から転落しかけてヒイヒイしてるような絶望感の中にも、ピュア〜な恋愛心情を炙り出し、見事に披露してくれた珍しいドラマであったと記憶しています。
もともと三上博史が好きだったので、当時は食い入るように観てました😂
ヒロインは地味で超無愛想な郵便局員。その妹は視覚障害者。そこに記憶を失った元ピアニストが現れて…という始まりだった気がする。
それぞれが、のっけから大きな「喪失」を抱えておるんですな。
元気で楽しそうなのはモブだけ。
という、なかなかの地獄モードでありました。
ギリギリのとこで助けあってなんとか生きてる感じなんです。モノに溢れていて治安は比較的良いと言われる日本国の中で、こんなギリギリの人たちがいる…と、当時ド貧乏で子どもだった私は、興味を持って真剣にドラマの行方を追ってました。
どんどん不運に見舞われるんですよ。
ちょっと良い感じになったと思ったら、落とし穴に落ちて酷い事になる…。なかなか「幸福」を見せてくれないんです。
そして、ただ自分の幸福を求めてるだけなのに、それを実現するには大きなリスクが付き纏うという、徹底的な不条理といいますか、「世の中そんなに甘くありまへんのやで〜」という、かなりきつい現実感を味わせてくれるんですね。
ちょっとまあ、普通の月9みたいに、キラキラと素敵な感じにはいかないんですよ。
そこが妙にリアルでした。
人間の醜い姿、卑小さ、悪徳、そういうのを沢山見せてくれるんです。
サザエさんとちびまる子ちゃん、どっちが好きかと言ったらちびまる子ちゃんだった私には、「この世の果て」というドラマは本当の事を見せてくれる作品という感じで、何度も何度も観たもんです。
この頃から、すでに「嘘くせー綺麗事」の類に拒絶反応をしてたんでしょうね。
なんつー厭なガキでしょうか(゚∀゚)
そりゃー教師にも嫌われるわけだ(゚∀゚)
人間の正体を暴く心理テストが出てくるんですよね。
この世に自分独りになって、船に乗って逃げなければならない時。
4匹の動物の中から一匹だけ連れていけますが、何を選びますか?
馬 孔雀 虎 羊
閲さんは何を選ばれましたか☺️
私は当時、羊を選んでました。
四つの動物はその人が最も大切にするモノの象徴でありまして、答えがこれです↓
馬=仕事
孔雀=お金
虎=プライド
羊=愛情
視覚障害者の妹が、この心理テストで、悪者の魂胆を暴くシーンはドキドキしながら見たものです。
そして、三上と鈴木演じる二人が揃って選んだのは「船に乗らない事」でありました。
なんでしょうね。
この選択の理由とか、気持ちとかは、詳しくは説明してくれないんですよね。
運命は静かに受け入れる、という気持ちなのか。絶望が深過ぎて何かを求める気持ちなんか失ってしまっているのか。
後者だったとしても、このシーンはなんだか凄くあたたかな情に溢れていて、美しかった記憶があります。
酷い展開の多いドラマです。
悪役側にも悲惨な事が起こります。
でも最後には純愛みたいなものを見せてくれるんですよ。
悪役の女が酸を浴びてしまい、顔面ぐちゃぐちゃになってしまった時、彼女に恋こがれていた障害者の男は自分の目を潰すんです。これでお前の顔は見えない、と言って。強烈に覚えてます。
最後の最後で、画廊をやってる女主人のシーン。
三上演じる、元ピアニストが仕事を求めて面接するんです。
そこで、ふたつの画を見せられて、どちらが価値ある作品か問われます。
彼は、青い画を指さします。
そしたら女主人は、笑いながら、それは無名の画家の作品で価値なんて無い、というような事を言う。
失格を悟り、彼は去ろうとしますが、「夫の絵ですの」と女主人は語ります。
自分にとって一番の宝、一番の傑作は、死んだ夫が遺した作品である。
人々の評判など関係なく、人間の心の機微を分かってくれる者でなければ、画を売る仕事に関わって欲しくない。
女主人は、そんな気持ちだったのでしょうか。
画廊の仕事を得る事ができ、帰った先には、ヘリから飛び降りて心身ともに不具となった愛する女がいる…という終わりかたでした。
暗く悲惨なんですが、どこか美しいんですね。
同時に、人はここまでしなければ、真の愛や信頼を得る事が出来ないのか…という絶望と悲しさが募ります。
野島伸司はこういう世界を作り出すと凄いです。
ではでは。