小ネタ箱(軍隊は今日もクソ)
「ザーボンさん」
「なんでしょうかフリーザさま」
「外のセミがとてもうるさいです。黙らせてくれませんか?」
「かしこまりました」
アプールに命じて、セミを虫捕り網で全部捕獲させるザーボン。
「ほっほっほ。とても静かになりましたねえ。どうもご苦労様です」
「おそれいります」
翌朝。
「ザーボンさん」
「なんでしょうかフリーザさま」
「またセミが鳴いていますよ。一体どうした事です?昨日全て取り除いたはずでは?」
「……おそらく、土の中で眠っていた者達が新たに外に出てきたものと思われます」
「キリがありませんねえ。申し訳ありませんが、また黙らせに行ってくださいませんか?うるさくて敵いませんよ」
「かしこまりました」
それからしばらく、アプールの仕事は蝉捕り専門になった。
「ところでフリーザさま、捕獲したセミはどうしましょうか」
「どれほど捕れたのですか?」
「ざっと千匹ほどです」
「結構な数ですねえ」
「地下室の虫かごに入れて生かしているのですが、法務の者から『うるさい』と苦情が……」
「それはお困りでしょうね。では食糧班の方にまわしてください。“あの方々”の食糧という事で」
「かしこまりました」
その日の夕食時。
サイヤ部隊のテーブルに、見慣れぬメニューが加わった。
「なんだこりゃ??」
「見たことねえカキアゲだな……なんだ?……うわ!!これ、セミじゃねえか!!」
「何いーーーー!?」
その時、ベジータのスカウターに通信が入った。
『ベジータさま、申し訳ありません!言い忘れておりましたが、今日のメニューのセミはフリーザさまがご用意した食材であります!どうかご了承ください!』
厨房からだった。
「くそったれ……!!ふざけるのもたいがいにしやがれェーーー!!」
「セミって……美味いのかな?いや、それ以前に、……食えるのか?」
「オレが毒見してやるよ」
ナッパがセミを食った。ハッとした顔でセミのカキアゲを見つめるナッパ。
「ナッパよ。どんな味だ?」
「ベ、ベジータ、結構いけるぞ!ラディッツも食ってみろ!」
「うおっ!?本当だ!フリーザさまがこんな美味いものをくれるなんて!」
「……信じられん。なんてことだ……あのフリーザが。何か企みでもあるのだろうか……」
サイヤ部隊はセミを食べた。
セミが美味いのではなく、モグロが不味すぎるという事に気づかぬまま、セミを完食した。
…終…
2011年7月31日