小ネタ箱(軍隊は今日もクソ)
「ザーボンさん、ちょっと」
「なんでしょうかフリーザさま」
「あそこを見てください」
「……。あっ。壁にGが……あやつめ、いつの間に……!」
「非常に目障りなので今すぐ抹殺してください」
「フ、フリーザさま、申し訳ございません。私はあまり、Gの類は得意ではなく……」
「……抹殺できないと。そうおっしゃるのですか?」
「申し訳ございません……」
「仕方ないですねえ。ではドドリアさんを呼んでください。やれやれ……」
(くっ……!不覚……!)
「フリーザさま。ご用ってなんですか?」
「あそこの壁で走り回っている、黒く輝くアレを始末して頂きたいのです」
「なあんだ、お安いご用ですよ。へへへ」
「ほっほっほ、聞きましたか?ザーボンさん。ドドリアさんのお仕事を見習って下さいよ」
「……はい。(おのれ……あんな虫けらごときで……ただ不潔でさえなければ私にだって……!)」
フリーザとザーボンが見守る中、Gの胸の部分を素手でつまんで壁から取ってやるドドリア。
……しばしの静寂が訪れた。
「どうしてここに来た?うん、ふむ、ふむふむ。そうかドアが開いた瞬間に……うん、うん」
「……」
「……」
「帰りたい?厨房に?あそこには妻子が待っていて今も自分の事を心配しているかもしれない…?そうか、じゃあ帰してやるぞ。ただ一つ約束しろ。もう二度と、この部屋には入っちゃいけねえぜ。よーしそれでいいんだ。あ、フリーザさま、話はまとまりましたんで、こいつ、厨房に連れていきます」
「……あ、はい。ご苦労さまです……」
「そんじゃあ失礼します。へへへ」
パタン
「……ザーボンさん」
「……は?」
「これからも……私の側近として……共に居てくれますよね?」
「は、はい!勿論です!」
「宜しくお願いしますよ。……ああそれと、私の部屋の前に、消毒液を常備しておいてください。 ドドリアさんには部屋に入る前に、毎回手の消毒をさせるように言っておいてください」
「かしこまりました」
ザーボンは頭を下げると、心の中でホッと胸をなでおろした。
フリーザの右腕という地位は、ザーボンにとっては命そのものなのである。
ドドリアが不潔なヤツで良かったと思うと同時に、G語をマスターしているその怪異な能力にもゾクリと戦慄を覚えた。
ドドリアとは、適度に距離を置いて接しようと、ザーボンは心に決めたのだった。
…終…
2011年6月23日