小ネタ箱(軍隊は今日もクソ)
「なあ王妃よ」
「なんですか?」
「ナッパにもそろそろ、所帯を持たせてやりたいな」
「そうですね。ああいった強い方には、若いうちに沢山の子をもうけていただかなくてはなりません」
「実はな、あれに相応しい相手を見つけたのだ。遺伝子的にも強い子孫を残せそうな少女がおるのだ、これが写真だ」
「まあ!なんて可愛いお嬢様!ナッパには勿体ないぐらいです!」
「うむ。しかしこの少女は、かなりの面食いらしい。ナッパを援護する為にも、我らで見合いの席を用意してやろうと思うのだが、どうだろう?」
「それは良いことです。ベジータもそろそろ、ナッパの子守りから卒業しないといけません。全くあの子は、いつまでもわがままで甘えん坊で…」
ナッパの見合いの日取りを相談しはじめる、ベジータ王と王妃。
その部屋のドアの隙間から、真っ青になりながら覗き見ているベジータ(4歳)が居た…。
◇
「ナッパ!いまから“だるまさん”をやるぞ!だ・る・ま・さ・ん・が・殺したぁーーーー!」
「なに~?おやつのじかんだと~?そんなものいらん!もっとあそびをつづけるぞ!つぎは“殺しおに”をやる!オレがおにだ、さあはやくにげろ!なに?“じゃんけん”ってなんだ?しるかーー!」
「わはははは!まてまてナッパーー!」
「だから、おやつはいらんといってるだろーー!つぎは“ピアノせんアヤトリ”をするぞ!さきにゆびをせつだんされたほうがまけだ!せんこうはオレだからな!」
「……ナッパよ、あめもふってないのに、おまえはなぜそんなにびしょぬれなのだ?へんなヤツだな」
「くそ、つまらん、アヤトリはあきた。もういちど“だるまさん”をやるぞ!」
「なにをねころがっている!はやくたてナッパーー!だるまさんが殺したーー!」
「ふう。のどがかわいたな。ナッパよ、みずをもってこい」
「バカヤロー!こんなときにみずなんかのんでられるか!マミーかスポロンもってきやがれ!コドモあいてなんだから、もっときをきかせろ!ぶっ殺すぞきさまーー!」
「ん?おまえ、せんぞにウサギでもいるのか?めがまっかだぞ?へんなヤツだな」
…いずれくるであろう、ナッパとの別離…。
それを知ってしまったベジータに、焦燥だか寂寥だか怨恨だかよく分からない激情が生まれた。
そんなベジータに散々振り回され、弄ばれたナッパは、たったの1日で円形脱毛症になった。そして見合いの当日、痩せこけた頬と、艶の無いボロのような尻尾と、あちこちに出来た円形脱毛症を、相手の少女に披露するハメになり、王も王妃もこれには擁護の余地は無く、結局見合いは破談となった。
その後、ナッパが女に振られた事を知ったベジータは、なぜだか胸が、ほわ~っとあたたかくなるのを感じたのだった。
…終…
2015/2/6