小ネタ箱(軍隊は今日もクソ)



「妃よ。ベジータは王子なのだぞ?下級の者も入り混じる『幼稚園』に入園させるなど……私はやはり納得がいかん」
「王。よくお考えになってください。王子は、いずれはこの惑星を統べなければなりませんのよ?いつまでも王宮の中に閉じ込めて英才教育だけをしていては、サイヤの民達の声を聞く耳が育ちませんわ。『愚王』に成り果ててしまわない為にも、他の色々な子供達と触れあい、喧嘩をし、惑星ベジータ全体を見据える事が出来るよう、今から『幼稚園』に通わせるべきです」
「しかし、『幼稚園』で下品な真似や言葉使いを覚えてしまったらどうするのだ。朱に交われば赤くなるというではないか。ベジータの、あの気品が失われてしまったら……。我ら王族の恥だぞ」
「妙な事を覚えてきたら、家で矯正すれば良いのです。厳しく躾をするのです」
「ならば、最初から『幼稚園』など行かせなければ良い。矯正は手間だぞ?それにベジータも、あの幼さでは混乱してしまう可能性が……」
「王……同意いただけなくて残念です。なんとかお話し合いで決めたかったのですが……」
「……仕方ないな」

10分後。たまたま王宮に野菜を持ち込んできたナッパが呼び止められる。

「ナッパよ、我々はこれから、ベジータを『幼稚園』に通わせるか否かを決める為の決闘を行う。その間の子守を頼んだぞ」
「ナッパ、食事とオヤツの時間をきちんと守るよう見ていなさいね。王子は時々、厨房の者を殺してツマミ食いをする事があるのです。育ち盛りの食いしん坊ですからね」
「あ、はい……。わかりました……」

王と王妃が、決闘場で熾烈な闘いを繰り広げる間、ナッパはベジータ(3歳)の面倒を見ることになった。

「おいオマエ、なっぱとかいったな。ヒマだから『だるまさん』であそぶぞ」
「あ、はい……」
「そこでたってろ」
「はい」
「おれがふりかえったときに、オマエがうごいてたら、ゲームオーバーだ。ぜったいうごくなよ?」
「はい……」
「おれが『だるまさん』を5かいいうまでに、オマエがおれにタッチできなければ、それでもゲームオーバーだ。わかったか」
「はい……」
「じゃあいくぞ?」
「はい……」
「だーるーまーさーんーがーこーろーんーだー……ら殺す!!」

ピタッ

「だーるーまが殺す!!」
「うっ!!」
「……ちっ。もうちょっとだったのに……くそったれ!」

死と隣りあわせで、冷や汗びっしょりのナッパ……。
なんとか4回めの『だるまさん』でベジータにタッチをし、地獄を回避。
その後、『ドロショ』(泥棒役がナッパで、処刑官役がベジータ)をやらされ、散々追いまくられた。
オヤツの時間がきたので、なんとか『ドロショ』地獄は回避できた。
王vs王妃の決着がつくまでの3日間、ナッパは地獄の子守を見事にやりおおせた。
そしてベジータの信頼を得たナッパはそれ以来、身の回りの世話役を任命されることになったのである。

…終…

2011年6月9日
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