小ネタ箱(軍隊は今日もクソ)

「ザーボンさん」
「なんでしょうかフリーザさま」
「花見がしたいのでお弁当と場所の手配をしてください」
「花見ですか……。フリーザさま、あいにくですが、モクレンはもう見ごろを過ぎておりまして」
「いえ、モクレンではなく、桜を」
「え?桜……ですか?フリーザさまの姿によく似ているモクレンではなく、桜をご覧になりたいと?」
「はい。ある文献によると、桜は木の下に埋まった死体の血を吸い上げてあのような薄紅にそまるのだとか。なんとも風情のあるお話です」
「なるほど、分かりました。早速桜を探してまいります」

翌日、フリーザは側近を連れて、旧惑星フリーザへと向かった。

「フリーザさま、申し訳ございません。桜が見られる星は限られておりまして」
「ソメイヨシノ…ではなさそうですねえ」
「申し訳ありません」
「構いませんよ。しかし、まだ咲きたてで見目が宜しくありませんねえ」

フリーザはそこらの桜にドーーーーーーン!!と気弾を打った。

「ほっほっほ!見てご覧なさい!桜の花が全部散って花吹雪になりましたよ!」
「美しいですね、フリーザさま」
「おやおや、飲み物に桜の花びらが入って、これはますます美味ですねえ」
「良いお花見になってよかったですね、フリーザさま」

その1週間後。

「そんな……オレの……桜が全滅……?」
「悪いなナッパ。しかしフリーザさまはお喜びだったぞ。あとで褒美の品をいただけるそうだ。何、また苗から育てれば済む事だろう?」
「………」

ザーボンからの通信を受けたナッパは、床にうずくまって泣いた。

「オ……オレが育てた……サクランボ畑が……ううっ」
「話は聞いたぜ」
「はっ…!ベジータ!」

いつの間にやらナッパの後ろにベジータが立っていた。
ナッパの泣き顔を見て、ベジータはニヤリと笑った。

「さぞ悔しかろう。お前が何年もかけて育て、ようやく今年収穫出来るはずだったサクランボ……。フリーザが憎いか?」
「うう……悔しい……けどフリーザさまが相手じゃ……文句は言えねえよ……また、苗から育てるしか……」
「ナッパ。これは極秘情報だが、フリーザは勢い余って苗場も燃やしちまったらしいぞ」(←嘘)
「なっ、なんだってーーーーー!?」
「苗は木っ端微塵。お前の夢だったサクランボ栽培は、もはや永久に叶わんという訳だ」
「……そんな……そんな……畜生よくも!」
「フハハハハ。いいツラだぞ。それでこそ戦闘民族だ。どうだナッパ、オレと共にフリーザ暗殺計画を企ててみんか?」
「……暗殺……」

ナッパはぼんやりと呟いた。洗脳された者のように、芒洋とした目をしていた。
ベジータはニヤニヤと笑いながら「やるぞフリーザ暗殺やるぞフリーザ暗殺…」と、
ナッパの耳に吹き込み続けた……。

…終…

2012年4月16日
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