「フリーザさま」
「なんでしょうかザーボンさん」
「先日、『みんなの相談箱』に、このような投書が……」
「どれどれ。おや？これは匿名ですが、思いっきりベジータさんの字ですねえ」
「はい。“いちまるさんいちの宴”を廃止して欲しいとの内容です」
「何故ですか？せっかく私が用意して差し上げた楽しいお祭りですのに……」
「私も理由がわからず、それとなくベジータに訊ねてみましたが口を割りません。仕方がないので、諜報部隊に調べさせた所」
「ふむ」
「ベジータはいちまるさんいちの宴の日、リクームに一日中つきまとわれたようでして」
「リクームさんに……ですか？」
「はい。『ベジータちゃーん。おやつくれないとイタズラしちゃうぞー』と……。常に腹を空かせているベジータは、軍から配給されていた宴用のおやつを全部食べてしまったようで、リクームにおやつを渡す事ができず……」
「……」
「逃げ切れずに、本当にイタズラされかけたようです」
「……恐ろしい事ですね」
「体の一部に手で触れられただけで済んだようですが、それが相当ショックだったようで。それでこのような投書を……」
「ふうむ」
「いかが致しましょうか」
「そうですねえ……。まあ触られただけで済んだのですから、いいんじゃないですか？それにベジータさんは宴用のおやつを自分で食べてしまった。ベジータさんにも非があります。宴は廃止しません。その投書は却下です」
「わかりました」

翌日、『みんなの相談箱』の上の掲示板に、お知らせのプリントが貼られた。

『いちまるさんいちの投書の件。審議の結果。却下とする』

ベジータはそれを見て、日頃から抱いているフリーザに対する殺意を、さらに強めたのだった。

…終…

２０１１年１１月３日