小ネタ箱(悟空関係)

「ねえ、ベジータ」
「なんだ」
「あそこに停まってる移動販売車、ほら見てよ」
「オレは何も要らんぞ」
「そうじゃなくって、あの中にいる人……もしかして孫君じゃない?」
「な……ッ!?」

ベジータは目を見張った。
ブルマの買い物に付き合わされた後、トイレを理由に、ほぼ騙された感じで公園の散歩にひきずりこまれた矢先。
公園の一角で、悟空の働く姿があった。

「おー、ブルマとベジータじゃねーか!」

悟空が販売車から出てきた。
制服らしきモノを来てエプロンもかけていた。エプロンにはマジックみたいので“サイ屋”と書かれていた。
それを見たベジータはたちまち激昂し、悟空に殴りかかった。

「うわ、いきなりなにすんだよ」
「エプロンを取れ!サイヤの恥晒しめーー!」
「孫くん、ここで働いてるの?」
「へへっ、まあな!」
「うそ!すごい!信じられなーい!」
「本当なのか?気でも違ったのかカカロット……」

悟空は頭をガリガリと掻いて、何かを言いよどんでいたが、ひとつため息をついてこう言った。

「あのなぁベジータ。オラ正直、おめえのしつッこさがめんどくせえんだよ……。オラの後つけて気のチェックしたり、ゴッドのすげーバージョン一生懸命パクったりよ~……いつまでオラと強さ対決する気だよ?」
「……なん…だと?」
「さすがのおめえでも、バイトだけはマネ出来ねーだろうと思ってよ、オラ勇気出して始めてみたぞ。だからもういちいちオラにつっかかってくんな、少しは距離置いてくれ」
「……」←衝撃の告白を耳にして、顔面蒼白となるベジ
「アンタ、そんなに孫くんの生活の邪魔してたの?ねえ、やっぱりアンタストーカーなの?」
「違う!オレはただ強くなりたかっただけだ!こんな野郎の生活の邪魔など」

してない、と言い切れなかったので、ベジータは話題を変える事にした。

「ふん、闘うことしか頭にないヤツに、こんなチマチマとした労働ができるものか!一体どんなモノを売ってやがるんだ?」

ベジータは販売車のメニューに目をやった。

かき氷、アイスキャンディー、ジュース、駄菓子、などなど用意が簡単なモノばかりだった。

「オラ、お好み焼きとか焼けねーしな」
「こんなメニューでは夏しか集客出来んぞ。貴様は終わりだ。やめちまえバイトなんぞ」
「わかんねーぞ?オラ、皆がワクワクするようなアイデアがあんだ」
「なんだと?一体どんなアイデアだ?」
「その話長くなるの?ふう、今日は暑いわねー。孫君、かき氷ちょうだいよ、ブルーハワイ」
「うちにはブルーハワイなんてねえぞ」
「え?でも、ブルーハワイってメニューにあるじゃないの」
「あ、しまった」

悟空はマジックで、品書きにあるブルーハワイの文字を塗り潰した。そしてその下に何かを書き込んだ。

「よっしゃあ!ブルマ、もっぺん注文してみてくれ!」
「はあ?えーっと……。“スーパーサイヤ人ゴッドのパワーを持ったサイヤ人のスーパーサイヤ人味のかき氷300ゼニー”って。何よこれ」
「へへ。要は、水色のかき氷ってことだ!よっこらせっと」←氷を用意する悟空
「カ、カカロット貴様ぁーー!!」
「うるッせえなベジータ、邪魔だよおめえ、食わねえなら帰れよ~」
「てめえには、誇りが……!プライドってもんがねえのかーー!!」←若干涙目のベジ
「はあ?プライドがゼニになんのかぁ?ブルマ出来たぞー」
「早~い!氷を削る手が速すぎて見えなかったわ」
「カカロット!この商品名をブルーハワイに戻せ!今すぐにだ!さもなくば殺す!」

…続く…
2015/5/9
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