小ネタ箱(悟空関係)




孫家は主に農作物の売り上げで生計をたてているのだが、大黒柱(悟空)は、その生業に殆どたずさわらない。なので度々、義父の牛魔王が召喚され、「こりゃマスオの仕事でねか。マスオの奴、どこさ行っただぁ~!」などと文句を垂れつつチチと収穫の作業をしていた。

「チチー、今年のカボチャは見映えもええし、味も乗っとる、特にこのでけえの、街の百貨店に卸せねえか?いい展示品になるかもしれねえぞ」
「いんや。おっ父、このカボチャは先約があるだよ。ブルマさんが高く買い取ってくれるんだべ。でっけえくせに、味がギュッと詰まってるのが気に入ったみてえだべ」

チチは、直径1メートルもある巨大なカボチャを撫でて微笑んだ。

「そらあ、よがったなあ。しかしこんだけでっけえと、調理が大変でねえのか?」
「そこは、ベジータがなんとかするってブルマさん言ってただよ」

小ぶりなカボチャは市場の者に引き取って貰い、巨大なカボチャ群だけは畑に残した。

「運送料かかるといけね。これは全部、悟空さに運んでもらうべ」



「うっへえ~!こんなでけえの運ぶんかあ~?しかも12個もあんじゃねえか、都まで12往復もすんのかよ面倒くせえなぁ~」

↑ めんどくさすぎて瞬間移動を思い付かない悟空。

「あ、そうだ、こっからブルマん家に投げ飛ばせばいいんじゃねえか?」

悟空は、巨大カボチャを5つばかり、西の都めがけてぶん投げた。

「オラはかめはめ波の玉のコントロールだって出来るんだ、カボチャぐらいどうってこたねえ!よっしゃこの調子なら2分もありゃ終われっぞ!」

ガッツポーズを決めて、6個目のカボチャを投げようとした時、家の電話が鳴った。
チチは外出中だったので悟空が電話をとった。
ブルマからだった。

「おーブルマ、そっちにカボチャ投げてみたけど、届いたかあ?」
『やっぱり孫くんの仕業ね!?なんてことしてくれたのよ、うちのお庭が潰れたカボチャでグッチャグチャになってるわよ!?ちゃんと届け…』ブチッ。

悟空は電話をガチャ切りすると、腕組みして空を仰いだ。そして、ふと閃いた。

「あ、そっか、筋斗雲に運ばせりゃいいんじゃねえか!」

↑ 余りにもめんどくさすぎて瞬間移動を思い出せない悟空。

「おーい筋斗雲~、これブルマん家に持ってってくれよ~」
「……」

筋斗雲はその小さな背中に巨大カボチャを4個も積まれて、独り、都に行かされた。

“はあ、はあ、重いなあ。やっと都に着いたぞ、早くCCにカボチャを置いて帰ろう……、はあ、はあ、ぐあぁ~!もうめんどくせえや!こっから落とせばいいだろ!そ~らよっと!”

筋斗雲はそう言うと、高度2000メートルの辺りから、CCの敷地にカボチャを落とした。

それから、孫家の電話が鳴り止まなくなった…。

「これ多分ブルマの奴だな…。くっそー筋斗雲の奴しくじりやがったか。しかも戻ってこねえし、まさか逃げやがったのか」

オラおめえの事見損なったぞ、と悟空はため息をついた。そして相変わらず瞬間移動を思い出せないでいた。

そこへ、悟飯が帰ってきた。

「お父さん、何してるんですか」
「おお悟飯、いいとこに来たな。ちょっと困ってんだ。このデカカボチャを無傷のままブルマん家に飛ばすにはどうしたらいいか考えてくれ」
「えっ?飛ばす?」
「そうだ飛ばすんだ。飛行機で運ぶとかは無しだ」
「えっ?飛ばせって、ブルマさんに言われたんですか?あの、持ち運ぶとかじゃなくて…」
「なあ悟飯よぉ~、オラ急いでんだよ~、家の電話なりっぱなしだろ~?ありゃあブルマが急かしてんだよ。早く飛ばせってよ~」

息子の話をあんまり聞かない悟空。
腑に落ちない悟飯だったが、一応考えてみた。

「そうですね……、例えば、カボチャを分厚い“気”で包んで浮かばせて、それにかめはめ波を当てて飛ばしてあげるとか?」
「なるほど、気の層をクッションにするわけだな?スピードは、かめはめ波でなんとかする、と。気の層があるから向こうで地面に落ちてもふわ~っと着地するんだな」
「でも、かめはめ波の威力に気を付けないと、向こうで潰れたり逆に届かなかったりするかも……、難しいと思いますが……」
「やってみなきゃわかんねえ、とにかく飛ばすぞ!」
「……」
「か、め、は、め、波~~」

ゴシャッ

「げえ、しまった強すぎたー!いきなり潰れちまったぞ!」
「やはり力加減が難しいですね。このカケラは勿体ないので、母さんに料理して貰いましょうか」
「ダメだ!チチにバレたら鉄拳喰らっちまうから隠しとけ!か、め、は、め、波……」

ゴシャッ、グシャッ


カボチャは全滅した。

「あー……やっぱり難しいですね」
「や、やべえ……、これじゃデカカボチャの代金、ブルマからむしりとれねえぞ!どうしようチチに殺されちまう!」
「……まあ、とにかく大きなカボチャを、ブルマさんにあげればいいんですよね?ハロウィンの飾りなんでしょ?」

悟飯は、その辺の土を粘土代わりにして、カボチャ形に固めてペンキを塗った。

「中に砕けたカボチャを混ぜたので、これでお母さんにもバレません。じゃあぼく、このレプリカをブルマさんに渡してきます」
「おう、頼んだぞ悟飯!」

最後まで瞬間移動を思い出せず、結局全て悟飯に丸投げの悟空。
悟飯を見送ると、帯を締めなおし、意気揚々と修行に出掛けた。

2014-10-20
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