小ネタ箱(悟空関係)
「ああ!?無い!!昨日頑張って、家中に飾りつけたのに!!一個も無い!!」
「どうしたんだよブルマ~」
「ウーロン!!昨日のアレ知らない!?一緒にくりぬいて作ったアレよ!!」
「かぼちゃのヤツか?」
「そうよ一個も無いのよ!!50個も作って、中に蝋燭も立てて、準備してたのに~~!」
「おい……。ゴミ箱に、蝋燭がいっぱい捨てられてるぞ……」←冷や汗をかくウーロン。
「……なんか、甘い匂いしない?」
「……煙の匂いもするなあ……」
メラメラ……パチパチ……
「ぎゃーーーーー!!」
庭では、積み上げられた巨大なジャックランタンが、真っ赤な火をまとってホックホクに焼かれていた。
それをベジータはじーっと見つめていた。
「べ、ベジーターーーー!!」
「わっ、なんだ、脅かすんじゃねえ」
「アンタなんてことすんのよーーー!!せっかくの飾りを!!なんで焼いてんのよ!!」
「??飾り??これはカボチャだろ?食い物だろ?」
「違うわよ!!ハロウィン用の飾りよバカ!!」
「波浪……WIN??なんだそりゃ、水系の技名か何かか?センスもへったくれもねえな」
バーベキュー用の串で、カボチャの顔を突き刺し、モグモグ食べるベジータ。
「あああ……わ、私の労力が……ハロウィンの……パーティーが……台無しだわ~~」
「おれの労力も忘れんなよ」←ブルマの後ろに隠れてぶつくさ言うウーロン。
「……なんだこのカボチャは。いつものより不味いな。おい、ブルマ。コレ全部ミキサーにかけてポタージュにしろ。すこしはマシになるかもしれん」
ホックホクのカボチャを、偉そうに指差すベジ。
ブルマはガクリとうなだれた。
自分用に用意したセクシーな黒猫衣装も、ベジータ用に用意した真っ黒いコウモリの衣装も全てパーだ。(ウーロンはもともとバケモンなので特に衣装は無し)
――その後、お仕置きとして一ヶ月間、ベジータの食事はカボチャの煮付けオンリーになった。
ベジータはなぜ自分がそんな目に遭うのか全く訳が分からず、陰でちょっと泣いた。
◇
「おかしい……なぜ毎日毎日カボチャの煮つけなんだ……オレが一体何をしたと言うのだ……」
……カボチャ仮面を焼いた罪で、ブルマにお仕置きを喰らっていたベジータ。
そろそろ米と肉と野菜が恋しくなってきた。
そんな折、ふと、テーブルに置かれていたチラシが目に入る。
『特大チャーシュー麺20杯、30分以内に完食した方はなんと無料!!(※完食できなかった方は正規の二倍の料金を支払って頂きます)』←※の部分は超小文字。
「ラーメンか……麺類は好きではないが、具があるしな……連続カボチャよりはマシかもしれん」
金を持ってないベジータは、渋々チラシを持って外出した。
目的の店に入って、チラシを差し出すと店主がニヤリと笑った。カモが来た、という表情だった。
ガララッ!
「オッス!タダ麺20杯食わせてくれるってホントかーー?」
「なっ!!」
店に入ってきたのは悟空であった。
「なんだ貴様ーーー!!何しにきやがったーーー!!」
「何って、チャーシュー麺食いにきたんだよ。おっちゃん、20杯30分で食えたらタダってホントか?」
「はい、本当ですよ。チャレンジされますか?」
店主がニヤリと笑う。
「おっしゃ!!オラ挑戦すっぞ!!」
ベジータの右隣に座る悟空。
「邪魔だーーー!!貴様がいると料理が間に合わん!!」
「お客さん、大丈夫ですよ~、30分以内に特大チャーシュー麺40杯作ってみせますので」
「へへ!大丈夫だってよ、ベジータ」
「クソ……なぜ貴様のような田舎者が、西の都の外れの中華街の、小さな情報を掴んでやがるんだ」
「オラはこういうの、匂いで分かるんだよ」
ベジータは悟空の言葉にゾっとした。これも一種の特殊能力なのかと腹が立ってきた。
「はいお待ち!」
二人の前に同時にラーメンが置かれた。器がでかい。おそらく10人分は盛ってある。
チャーシューの量が半端ではない。麺が見えない。二人は同時に割り箸を割った。
「ベジータ!!オラのスピードについてこれっか~!?」
「バカめ!!このオレ様が下級戦士の貴様に負ける訳がなかろう!!」
「オラ、花火じゃ負けたけどよ、食うスピードに関しちゃ宇宙一の自信があっぞ!!」
「ふ……ふははは……宇宙一だと?ふざけやがって……!その鼻っ柱を今からへし折ってやるぜ!!覚悟しやがれ、この異種交配変態野郎が!!!」(←後に自分もそうなるとは、想像もしてないベジ)
「異種交配……変態……?なんだそりゃ……そりゃオラだけの事じゃねえな……?……チチの事か?チチの事も言ってんのかベジーターーーーーー!!!!」
「オイ店主ーーー!!早く二杯目を出せ!!」
「許せねえッ!!オラ絶対に負けねえぞーー!!おっちゃんオカワリーーー!!!」
そんな感じで30分と経たず、二人は20杯完食を果たした。
そしてもう一度、もう一度と挑戦し続けた。だが、二人とも互角のタイムで決着は付かなかった。
こうしてまた一つ、店が潰れた。
…終…
2011年10月24日