例のトラップダンジョンならどんな相手でも屈服させられる説
凡そ正義の側の人間とは思えない発言である。
「それにしても」
マルスはぐるりと周囲を見回して。
「……もの凄い設備だね」
ひと言で言うならば──司令室。
メタリックブラック一色のその一室には容易に触れるべきではないであろう機械がずらりと並べられており、既に監視カメラが作動しているのか設置されている巨大なモニターには幾つもの映像がリアルタイムで映し出されている。
「まっ。マスター様の次に天才であるこの俺──ルイージ様の手に掛かればこんなモンよ」
踏ん反り返るのはダークルイージ。
「ここから動かずともボタンひとつでテメーらの提案した仕掛けが奴らを襲うっつー寸法さ」
「引き篭もり御用達」
「余計なこと言うんじゃねーよ兄貴!」
……元々はそのつもりだったのだろうか。
「トラップダンジョン、なぁ」
そんなやり取りを傍目にマリオは腕を組む。
「……上手くいくもんかね」
「そういうものだよ」
マルスは隣に並んでモニターを見上げる。
「ご都合主義展開ってやつですね」
「なんだそれ」
「話の進行に都合の良いように多少強引でも思惑通りの展開になったり何故かあっさり雰囲気に流されて行動してしまうというあれですよ」
ダークフォックスにダークファルコが説明する。
「──!」
警報が鳴り響く。
「早速現れたみたいだねえ」