第三章
――ルーティにも心当たりがあった。
ピチカの兄、スピカ・リー。ルーティの幼馴染みである彼が行方不明になったのも、ちょうど十年前だということを。
「だから見つからなかった」
スネークがそう告げると、ダークファルコは腕を組みながら、溜め息混じりに。
「それで?」
「攫った子供の僅かな思い出をタブーに食わせ、“ゼロ”の波動で中身を空っぽにし、戦士としてのみの知識を与え、育成する実験を行った。……違うか?」
的を射ているらしく、ダークファルコとダークプリンは思わず、顔を見合わせた。
「それを何故、俺達に?」
ルーティは急に寒気がして、密かにスネークに寄り添うと、服の裾を掴んで。
――ダークファルコが、殺気立っている。
「お前達のリーダーはっ」
すると、スネークは手榴弾を投げつけて。
「十年前に攫われ、偽の記憶を植えつけられた、ダークシャドウじゃない、ただの少年! スピカ・リーじゃないのか!」