第三章



「仕方ないだろ。ルーティは童顔だから、スーツは似合わないんだよ」

ソニックは溜め息混じりにそう告げた。


……結局、スネークが嫌がるルーティの服の襟を掴み、引き摺るようにして受付へ。

「お客様、どのようなご用件で?」

受付嬢がにこやかに対応する。

「本日、午後三時に行われる会合に参加する者だが、何せ孫娘には退屈だろう? その間に資料室を見せてやりたいんだが」

スネークはまるで猫を扱うかのように、ルーティの服の襟を掴んだまま持ち上げると、受付嬢に差し出して。

受付嬢は眼鏡を中指で押し上げ、目を凝らしてスネークとルーティを見比べる。

「あのぅ、資料室は限られた方にしか出入りが許されていないのですが……どなたか許可を頂いておりますか?」

すると、スネークは恐ろしい程の早口で。

「司令官だ! 司令塔を総合的に指揮している司令官に、友人の家族の内の長男の妻の娘の親友の母親の夫の叔父の孫の学校のクラスメイトの親が離婚した際に掛け合った者が来ていると言えば分かる!」
 
 
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