第三章
「ち、ちょっと待って」
本題に入るその前に、ルーティは片手を突き出して。――疑問が一つだけ。
「あの、さ。僕、X部隊に入る為に試験やったんだけど。本物の」
ルーティが受けた試験は、トーナメント式で戦闘をしたり、簡単なテストをするというもの。試験官はちゃんとした人間で、もちろん、操られている様子もなかった。
「その後で、マスターとクレイジーが動いたみたいですね。俺やフォックスは、勧誘みたいに手紙が届きましたから」
リンクはにこやかに答えた。
「でも。……言っちゃ悪いけど、ピチカみたいに子供で、弱そうな人もいるよ?」
マスターとクレイジーが、弱い人間をわざわざX部隊に勧誘する意味が分からない。
彼らも試験に受かったのなら別だが。
「策略」
ぽつり、とウルフが答えた。
「正義の味方とやらはお人好しだからな。弱い人間を何人か混ぜていた方が足手まといになるだろうし、人質に取ることも出来る。そういうことだろう」