第一章
「やぶぁ……っ」
トーストを口にしながら、ルーティは全速力である場所へ向かっていた。
森林都市メヌエルの中心部に位置する広場にぽつんと生えている、聖樹フィエスタ。
その場所で、ルーティはそのパートナーと待ち合わせているのだ。
……さて、お察しの通りX部隊にはパートナー制度が備わっている。
これは、各人物の能力データを元にして、弱点を補うように機械がパートナーを構成するのだ。必ずしも二人一組ではない。
数合わせや、部員の希望により三組や四組のところもある。まあ、政府にしてみれば戦えればそれでいいのだろう。
「っ、見つけた!」
トーストを食べ終え、間もなくして目印の聖樹が視界に飛び込んできた。
思わず声を上げ、聖樹の元へ駆け寄る。幹に背中を預け、息を弾ませて。辺りを見回してみるが、見たところ誰もいない様子。
――なんだ。あっちも遅刻か。