第二章



ダークリンクの声は空に反響して、ルーティの胸に深く突き刺さった。

「それだけが世界じゃない!」

ルーティは押し返そうと試みるが、ウルフェンの進行方向、速度により向かい風が邪魔をして、踏ん張るのが精一杯で。

「それだけの世界だ! 闇に放られ、輝ける光が目の前に見えながら、届かず、朽ち果てた人間が何人居たと思う? 数えたこともないだろうよ。数えられないほど、人間が居ることが問題じゃねえ」

ダークリンクは鬼のような形相で。

「数えようともしない人間が! 光の中でのうのうと生き、分かったような口を叩くことが問題なんだよ!」

言葉の刃が突き刺さる。

じわり、と胸が熱くなった。それでも、踏み込まれない為にルーティは堪える。

「いつだって言葉だけで済ませようとするよなぁ? 人間はよぉ! そんな人間が生きている世界が、正しいってのか! てめえも……結局は同じなんだよ! 綺麗事を並べるだけの低脳な糞餓鬼がああっ!」
 
 
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