第二章
「飛べ!」
無線から聞こえるはウルフの声。
ウルフェンは突進するかのように、ルーティの元へ勢いよく迫ってきている。ルーティは混乱しながらも、息を呑み、意を決してその場で飛び上がった。
タイミング良く、ウルフェンの左翼に着地して、ルーティは翼にしがみつく、ウルフェンは掬い上げるように上昇して。
「――つまり、マスターとクレイジーは理想の世界を作る為に、亜空爆弾という特殊な爆弾を使い、世界を切り取っている……切り取った世界は二人に造り出されたタブーにより、“ゼロ”にされ、真新しいパーツとして保管されてるってこと?」
左翼の上で片膝を付きコックピットに右手を添えつつ、ルーティは私論を口にする。
ウルフェンは前方に見えるアーウィンを追っている。――上手くいけば、彼らの基地を突き止められるかもしれない。
「そういうこった」
すると、ウルフは小さく舌打ちをして。
「ルーティ! 来るぞ!」