第二章
「……ウルフはさ」
ルーティは煙草の煙が苦手なので、少しだけ距離を取るとウルフを見つめて。
「なんで、来てくれたの?」
――本来なら、ルーティのパートナーはウルフではなく、パンサーという男だった。
ウルフは、パンサーの代わりにあの日あの場所に現れ、現在に至るのである。
「何となく、だ。暇だったからな」
ウルフは煙草の煙を吐き出して。
「じゃあ、今も何となく僕のパートナーなの? いつだって抜けられたのに」
――何を言っているんだろう。
自分でも、酷いことを言ってしまったのではないかと悔やんで、ルーティは気まずそうに視線を下に落とす。
「……餓鬼のくせに」
ウルフは煙草を地面に捨てると踏みつけ、火を消して。ルーティに近付き、正面に立つと突然、乱雑に頭を撫で回しながら。
「誰かがそこに居ることに、いちいち理由はいらねえんだよ。面倒くせえ。居たいから居る、それだけだ」