第二章
「その辺にしてやれ、ウルフ」
毎朝、剣士であるリンク、マルス、アイク、ロイの四人を鍛える為に、稽古させていたメタナイトが、何の気なしに端から見ていたらしく、声をかけてきた。
トドメを刺される寸前だったが、ウルフは舌打ちをすると同時に手を止めて。
「次は殺す」
そう言い残し、ウルフは足早にエックス邸へ。――稽古とはいえ、毎回、殺すつもりでかかってくるのだからたまらない。
ルーティはへなへなとその場に座り込み。
「大丈夫?」
心配そうに駆け寄ってきたのはピットである。ルーティは苦笑を浮かべつつ、差し伸べられた手を取り、立ち上がる。
「こんなんで動きが良くなったりすんのかな……半信半疑って感じ」
「あ、俺も分かるよ。それ」
ルーティの台詞を聞きつけたロイが、一人で勝手にうんうんと頷いて。
「この辺にしようぜ、メタナ」
「黙って剣を振れ!」
――ウルフより厳しい上に、怖い。