第一章
「ようこそいらっしゃいました」
入り口の扉が開き、現れたのは緑のコートを羽織った男。その両側には警護をしているらしい、よく似た顔の男が二人。
多分、送られた荷物をそれぞれの部屋に置いていたのだろう。しかし、本当に三人だけで済ませたのだろうか。
「政府から、お話は伺っているのデス。部屋の用意は出来ていますから、今日はゆっくりとお休みになるとよいのデス」
台詞は片言だが、とにかくそう告げると、緑のコートの男はぺこりと頭を下げてから足早にエックス邸の門へ。
両側についていた二人の男も同じく頭を下げて、緑のコートの男の後を追いかける。
「それと」
緑のコートの男は不意に立ち止まると。
「部屋割りですが、パートナーと同じ部屋なのデス。仲良くするといいのデス」
――ウルフと!?
ルーティは、ばっと勢いよくウルフを見遣った。こんな、一緒にいたらいつ殴ってくるか分からない男と同じ部屋だなんて。
「どうした。用が無いなら見るな」
鋭い目付きで睨み付けるウルフに、ルーティはがっくりと肩を落とす。
――これが始まり。踏んだり蹴ったりなのは、主人公特有のスタートダッシュ。