第一章
「――てな感じなんだけど」
ウルフの隣を歩きながら、ルーティは今回、自分が抱いた疑問を全て話した。
政府が今回の敵と関わっている可能性。
ダークピカチュウとマスターの正体。
一部のメンバーが隠そうとしている秘密。
しかし、ウルフは相変わらず素っ気なく。
「俺様に言うことか」
と呟き、ぷいと顔を背けて。しかし、ルーティはめげずにウルフの服の裾を掴むと。
「当たり前じゃん。パートナーなんだし」
そう言って、照れ臭そうに笑う。
そうこうしている内に、X部隊メンバーは拠点となる寮、エックス邸に辿り着いた。
寮というより、豪邸。政府も太っ腹なんだな、とルーティは内心感心して。
門を抜けて、エックス邸内部への入り口までがまた遠い。庭は踏み固められた地面でまるでグラウンド、稽古が出来そうだ。