第一章
「ピチカ、あのさ」
言いかけたその時だった。
突如、背後から何者かが飛びかかり、ルーティは地面に勢いよく倒れ込んだ。
「ルーティ! お前、本当にあのルーティ・フォンかよ!」
騒ぎ立てられたところで、顔面を強打しているルーティはそれどころではない。
仕方なく、ウルフがその何者かを足で退かして、ピチカはルーティの体を起こす。
「あいたた……」
ルーティは顔を摩りながら見上げて。
そこにいたのは、ツンツンとした赤髪の剣士、ロイ。近くには、彼のパートナーである天使のピットもいた。
「ぼ、僕の名前……知ってるんですか?」
「当たり前じゃん! だって」
すると、現れた青髪の剣士、マルスによってロイの口は塞がれ、台詞は途切れて。
ルーティが小首を傾げていると、ウルフはさっさと歩き出していた。機嫌を損ねては大変なので、「その話は後で!」とだけ告げて、ルーティはウルフを追いかける。