第一章
す、と手を上げたのはユウである。
「襲われる直前、機内が停電した。ダークシャドウが現れたのはそれからだ」
ユウは腕を組みながら。
「……その間に攻撃するチャンスはいくらでもあったのに、そうしなかったのは彼らが光に弱いからじゃないか?」
――ユウ曰く、飛行機が飛び立って数十分後に、乗務員が開いている窓を、理由も告げずに閉めて回ったそうだ。
電撃を放てるピチカや、炎を操るネロとはまともに対峙したようだから……ダークシャドウが弱いのは多分、太陽光だろう。
「夜は警戒した方がよさそうだな。ユウ、貴重な意見をありがとう」
ユウはふんと鼻を鳴らして。
……まただ。そんなに話していないはずなのに、フォックスはまるで以前から知っていたかのように、ユウの名を口にした。
――前以て調べといたのかな?