エピローグ
「……あの子が大好きな父親の死を知った時、酷く落ち込んで引き籠もっちゃって。その悲しみが恨みに変わることを恐れた私は、フォックスさんに頼んだんです」
ルピリアが訳も無く話し出すのを、ウルフは口を挟まずに黙って聞いていた。
「でも、ああして笑っていられるってことは……真実を知って、乗り越えたのね」
ルピリアは目を細めて。
「いつの間にかあんなに大きくなっちゃって。後ろ姿があの人そっくりだわ」
ルーティの後ろ姿にラディスの面影を重ねて、ルピリアは思わず微笑を浮かべる。
ウルフは煙草の吸い殻を足下に捨てると、踏みつけて。ズボンのポケットに手を突っ込み、短く息を吐き出す。
「どうだろうな」
ウルフはふんと鼻を鳴らして。
「あいつはまだまだ甘ちゃんだぜ? そして多分、この先もっと強くなる」