エピローグ
これは彼の独断というより、“兄さん”と慕っているマスターの言い付けなのか、クレイジーは溜め息を洩らすと歩き出して。
ルーティとウルフは顔を見合わせ、少しだけ距離を取りながらついていき。
「安心してよ。別にこのまま迷わせて、一気にぶっ潰すなんて真似はしないから」
クレイジーは振り返らずにそう告げて。
「父さんの墓、知ってるの?」
「知ってるよ」
即答。
クレイジーは暇潰しに己の髪を摘まんでは捻ったりと弄りながら、話を続けて。
「あいつが死んで葬られた後、墓荒らしでもしてやろうと思ったんだけどね。誰だっけ……その奥さん? 物凄い強かった」
恐らく、母親のルピリアのことだろう。
暫くして、クレイジーは森を抜ける直前で立ち止まり、近くの木に背を預けた。
ルーティは小首を傾げつつ、我先にと森を抜ける。――すると、そこにあったのは。