エピローグ
「おい」
案の定、道に迷ってしまったらしく、ルーティは「あれぇ?」と首を傾げて。
すかさず後ろに回ったウルフが拳をルーティのこめかみに押し付け、ぐりぐりと捻り。ルーティはじたばたと暴れながら。
「と、途中まで合ってたもん!」
「迷ってんじゃねえか!」
ルーティはウルフの手を離すと、向き合い、腰に手を当てながら睨み付けて。
「そんなに言うなら匂いでも嗅げばいいじゃん! 向日葵の!」
「俺様は犬じゃねえっ!」
ここが何処かも分からない森の中で、ただ喚き散らすルーティとウルフ。
――その時、がさがさと音を鳴らして茂みが怪しく蠢き。ルーティとウルフはぴたりと静止して、ゆっくりとそちらを見遣り。
「ウルフ」
ルーティが小声で名を呼ぶと、ウルフはホルスターの銃に手を添えて。間もなく、茂みの中からとある人物が現れた。