エピローグ



一方、此方は病院の外。

「おにぃ!」

いきなり飛び付かれる展開はあらゆる場面で慣れてしまったので、ルーティはひょいとピチカを躱して。――が、しかし。

「おりゃあ!」

今度はピチカは後ろから抱きついた。

さすがにこれは予想外で、「うわあ!」と声を上げたルーティは前に倒れて。

「会いたかったよぉぉぉ!」

ルーティが倒れても尚、背中に擦り寄るピチカだったが、スピカは猫を扱うかのように首後ろの襟を掴み、引き離す。

地面に強く打ち付けた額を摩りながら、ルーティは立ち上がると苦笑いして。

「あら」

サムスはルーティの姿を見ると。

「少し大きくなったんじゃない?」


――確かに、ルーティは眠っていた二ヶ月の間に顔立ちだけは変わらずとも、少しだけ背が伸びたように思えた。

何より、伸びた襟足を首後ろで括っているその姿は、父親のラディスそっくりで。
 
 
12/27ページ
スキ