エピローグ
「……君がリーダーなのかね」
ぽつりと司令官が訊ねた。
無線を通して聞こえてきた司令官の声だが、実は初めて聞いたのだ。ルーティは今更緊張してしまったのか、声が裏返り。
「はいっ! リーダーでございます!」
司令官は時計を眺めていた。
現在の時刻は十二時五分。今更帰還通告をされたところで、間に合ってないのだ。
「惜しいな。君の働きはいつだって弾丸のように素早く、力強かったと聞く」
司令官は笑って。
「別の部隊に所属してみてはいかがかな。君はまだ若いようだし、歓迎するだろう」
暫しの沈黙。
しかし、ルーティは小さく笑みを溢すと、はっきりとした口調で答えた。
「僕の居場所はX部隊なんです。だから、X部隊じゃなきゃ意地でも戦いません」
司令官は机の上から解散届の用紙を取ると、扉に向かって歩き始めた。付き添いの秘書らしき男も、後を追いかけて。
――やはり、遅かったか。