エピローグ
「ああ……元気だよ。殆どの傷は浅かったから、治りも早かったんだ」
ようやく落ち着いたのか、服の袖で涙を拭ってはフォックスはベッドに腰掛けて。
ルーティは安心したように笑うと。
「よかったぁ。でも、依頼とか大変だったんじゃない? 寧ろ溜まってたりして」
今回の戦いで世界は半壊してしまったのだから、修復作業にX部隊メンバーが駆り出されたのは言うまでもないだろう。
その上、個人的な依頼も申し付けられたんだろうから、さぞ大変だったろうに。
「――まずいっ!」
フォックスは重大な問題を思い出すと、室内の壁に掛けられた時計を見遣り。
ルーティが小首を傾げていると、ウルフは己のジャケットから無線機を取り出し、差し出して。ルーティは怪訝そうに。
「……え、何?」
すると、フォックスは血相を変えて。
「帰還通告だ、ルーティ! 急げ! レイアーゼでは定められたリーダーが二ヶ月間不在した場合、率いた部隊を強制解散させる決まりになっているんだ!」