第一章
「餓鬼のくせに無茶をしやがる」
飛び移って早々、ウルフに睨み付けられてルーティは苦笑を浮かべた。
そして左翼に移動し、ダークピカチュウと向き合う。ルーティはもう一度、真偽を確かめる為にその名を口にする。
「――スピカ」
ぴくり、と一瞬だけダークピカチュウの眉が動いた……ような気がした。
結局、ダークピカチュウは何も答えないまま左翼に移動して。
様子を見守っていたダークウルフ、ダークフォックス、ダークファルコの三人はそれぞれのウルフェンとアーウィンを方向転換させると、瞬時に飛び去ってしまった。
「へっ、つまんねえ連中だぜ」
ウルフェンの無線から聞こえてきた余裕綽々の声の犯人は、ファルコである。
といっても、ルーティにとって彼は、ウルフに“かっこつけのフォックスのパートナー”と聞かされただけなのだが。