エピローグ



病室に入ってきたのはウルフだった。

手には三本ほど包装した黄色の花、ガーベラを持っていて。ウルフは起き上がっているルーティに気付くと、固まってしまい。

「ウ」

ルーティが名を呼ぶよりも先に、ウルフは閉じかけた扉を開いて病室から飛び出ると、背を向けて廊下を歩いていたフォックスの頭目掛け、ガーベラを投げつけて。

「った!」

ガーベラは見事、フォックスの後頭部に命中して、フォックスはガーベラを手にしては早足でウルフに歩み寄り。

「何をす」

言いかけて、ウルフが室内を指差したのでフォックスはゆっくりとその先を見て。

「あ。……えっと」

ルーティはフォックスと目が合うと肩を竦めて、初めて会ったかのようにぎこちない態度で、小さな声で告げる。

「おはよう、ございます……」

そして、ぺこりと軽く頭を下げて。
 
 
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