エピローグ
所変わって、ここはレイアーゼの街中にある病院。そこにある幾つかの病室の内の、とある病室の扉の横に、ルーティ・フォンという名札が掛けられていた。
特別に設けられたとだけあって個室、窓際に備え付けられたベッドの上に、ルーティは“未だに”眠っていて。
窓は少しだけ開いており、心地好い風が吹き抜けてくる。カーテンが、靡いた。
「……っ……ん」
ゆっくり瞼を開き、目覚めるルーティ。
だがしかし、ここが何処か分からずに暫くの間、白い天井をじっと見上げていた。
「……あれ」
ルーティは重い体をのっそりと起こし、己の髪に触れるなり小さく声を洩らして。
――髪が伸びている。
その時、足音が聞こえてきて。その足音はちょうどこの病室の前で止むと。
「じゃあ、また連絡してくれ」
フォックスの声がして。
ルーティが小首を傾げながら扉を見つめていると、やがて、扉は静かに開かれた。