最終章
タブーが両手を振っておろおろとしながら告げると、ファルコは溜め息を洩らし。
「ったく」
不思議と笑みが溢れてきて。
「リーダーならしっかりしろよな」
フォックスとタブーは顔を見合わせると、何だかおかしくなって笑い声を上げて。
「――ああ、そうだ」
ふと、タブーは笑うのをやめるとルーティを抱き起こし、ぽかんとしたまま傍らで跪いているスピカの元へ歩み寄り。
タブーはルーティの傍らに跪くと、髪を撫でようと手を伸ばすが、躊躇って。
「……ラディス、さん?」
スピカがそう呼びかけるも、タブーは視線を落として。苦笑を浮かべると。
「俺、いいのかな。こんなズルして」
目の前ですやすやと安らかな寝息を立てて眠っているのは、十四年の時を経て大きく成長した自分の愛しい息子。
しかし、一度死んだ人間がこうして間接的に誰かに触れるのは、禁忌なのではと今更ながら考え始めて、タブーは躊躇して。