最終章
タブーの体にほんのりと白い光が灯り、ゆっくりと顔を上げては此方を見つめる。
今のところ、敵意は無いようだ。
「油断するなよ、ファルコ」
タブーが何を考えてどう動くか分からず、警戒しては銃を構えているフォックス。
「いつ攻撃を仕掛けてくるか」
「フォックス」
遮るように、タブーは名を呼んで。
が、声が違う。どちらかといえば、タブーをスピーカー代わりに扱って、他の誰かが喋っているような……そんな聞こえ方。
「フォックス」
タブーはもう一度、名を呼んだ。
その声に聞き覚えがあったフォックスは、「まさか」と小さく声を洩らし、目を見開いては思わず銃を手放して。
「そ、んな……っ嘘だろ……」
フォックスの考えが正しければ、それはまず有り得ないことなのだ。それでも、フォックスは震える唇でその名を口にする。
「お前……ラディス、なのか……?」